第4話 氷の刃
安藤と当真は、事件現場に残されたわずかな手がかりを頼りに捜査を進めていた。被害者の体には、鋭利なもので数多くの刺傷痕があり、中でも特徴的なのは、心臓を貫いた一本の傷跡だった。鑑識の結果、その凶器はアイスピックと判明する。
「アイスピックか...。随分と残忍な犯行だな」
当真は、冷え切った遺体の前で呟いた。
安藤は、眉をひそめながら現場をくまなく見渡す。「被害者の部屋からは、何一つ物足りなく感じない。まるで、犯人が完璧に証拠を隠したかのようだ」
捜査線は、旅館の関係者や宿泊客へと絞られていく。しかし、アリバイを固めている者も多く、なかなか突破口は見つからない。
そんな中、安藤は、被害者の過去を掘り下げるうちに、ある人物に注目する。それは、被害者がかつて勤めていた会社の同僚だった。その男、緑谷樺夫は、数年前に会社を解雇されており、被害者に対して恨みを抱いていた可能性があった。
当真は、その男の自宅を訪ね、事情を聴取する。男は、事件当日は自宅にいたと主張し、アリバイを証明する証言も用意していた。しかし、当真は、男の言動にどこか嘘を感じていた。
「何かを隠しているぞ」
当真は、直感を信じて、男の自宅を徹底的に捜索する。そして、ついに、一室から血染めのアイスピックを発見した。
「これは...!」
当真は、確信を込めて叫んだ。
男は、自らの犯行を認め、動機を語り始めた。彼は、解雇された恨みから被害者に復讐を計画していたという。
「あの男は、俺を会社から追い出した。許せない。だから、殺したんだ!」
男の言葉に、安藤は、複雑な表情を浮かべた。復讐心というものは、人をここまで狂わせるのか。
しかし、事件はこれで終わりではなかった。
後日、安藤は、再び事件現場を訪れる。そして、あることに気がついた。それは、被害者の部屋の窓が開いていたこと。
「窓が開いている...。ということは、犯人は窓から侵入した可能性がある」
安藤は、この新たな事実を元に、再び捜査を始める。そして、ある日、驚くべき事実を発見する。
それは、事件当夜、旅館に宿泊していた別の客が、犯人を見ていたという証言だった。その客は、犯人の特徴を詳細に語り、その人物は、なんと、旅館のオーナーだったのだ。
オーナーは、なぜ、従業員を殺害しなければならなかったのか。その動機は、複雑に絡み合った人間関係の中に隠されていた。
安藤と当真は、二人の刑事が力を合わせ、事件の全貌を解き明かす。そして、最後に明かされる真実とは...。
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