三題咄

九戸政景@

お題:じゃあねえ・うーんとね・そしたらねえ

「なあ」

「んー?」


 ある日の昼過ぎ、寝転がっている彼女に呼び掛ける。いま流行りの漫画を読んでいるようだが、その目は少し飽きている時の目だ。



「なんか別の事するか?」

「そしたらねえ……」

「うん」

「うーんとね」

「うん」

「じゃあねえ」


 彼女は漫画を読みながら言う。また始まった。彼女はこういうところがあるのだ。



「なあ、決める時はぱぱっと決めないか?」

「え、言ったじゃん」

「は?」

「頭悪いなあ。もっかい頭から考えてみなよ」

「頭からって……」



 その瞬間、その言葉の意味がわかった。



「ああ、そういうことか」

「うん。それじゃあ始めようか」

「だな」



 俺達は立ち上がり、彼女の提案通りの事をし始めた。

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