難攻不落の王子様、校内屈指の美少女ギャルに恋される話
しょーとけーき
[高校1年生編]第1章
1話 難攻不落の王子様
春の暖かな日差し、それをほのかに冷やしてくれる風と共に桜の花びらが舞う中、中庭でベンチに腰をかけながら本を読んでいた。
最近刊行した推理小説でこの著者の作品をいくつも追っており、巧妙なトリックや登場人物の掛け合いなど読者を飽きさせない工夫がいくつもされているのが特徴的だ。昼食後の眠気などつゆ知らずにゆっくりと読書を堪能していく。
ちなみにだが食後の眠気は野菜から摂取するとかよく噛んで食べるとかしたほうがいいとか、いつか読んだ本に書いてあった。
高校を入学して早一週間だが、親友は一人しかない。
友達ではなく親友と呼ぶのか至極当然のことであるが、そいつだけが唯一心を許せる人であるから、それも腐れ縁というか幼馴染というか付き合いが長く、自分の事情も理解してくれている。
何故そいつ以外の親友を作らないのかと疑問符が頭に浮かぶだろうが、それ以上必要がないと感じている。
自分、
それ以上、他人と関わりを持ったところで利益もあるが不利益にすらなる。不利益になった時の後処理を考えれば時間の無駄。それならば、自分の時間に割いたほうが将来的に得る利益は馬鹿にならない。だから親友は要らない。
恋愛なんて論外であると考えている。親友以上の関係、自分の領域まで踏み込まれる恋愛なんてもっての外である。頭がピンクな者同士やればいい。
しかし、入学早々校内の女子の間ではイケメン枠に入ってしまったせいか、教室にいるとクラスのみならず他クラス、他学年までお誘いが来てしまう始末になり他人との交流を重視していない自分とっては迷惑でとてつもなく鬱陶しい。
お誘いはすべて断りを入れているが、自分の言葉が強いせいか泣かせたり、絶望の淵へと追いやったりしたので、校内では「難攻不落の王子様」と呼ばれているらしい。
こんな成り行きがあり、なんでこいつがみたいなクラス男子の妬ましい視線やクラス女子の甘々キュンキュンな視線から逃げるようにしてここに辿り着いたというわけだ。
「今日もここは
日々の喧騒を忘れさせるような時間を感じた昼休みを過ごした。
◇
しっかりと読書を堪能した昼休み後の授業はかなり退屈であった。
かなり勉強はできる方であるし、高校入試は全ての教科で九〇点以上を獲得しているが、おかげで入学式の新入生代表の挨拶みたいなやつを任せられた。おかげでこんな日常になってしまった。
くだらない思考を回しているうちに授業は終わり、帰りのホームルームに移り、明日の時間割やら必要事項やら担任が話していき、お開きとなる。
「さて、帰るか……」
教科書やら本やらをスクールバックに詰めていると目の前に女性が来たため視線を移す。頬が朱に染まっている金髪のギャルが何か言いたげに体をもじもじしている。
要件は察しはついてしまうが。
「何か用?」
「佐々木さん、今日お暇ですか? 良かったらこの後デートでも――」
「あのさ、誘ったからって簡単にデート行くほど自分軽い人じゃないからね。それより素性も知らないあなたとは行きたくないかな。さよなら」
これで何回目だと思いながら、冷たい声を吐き出しながら容赦なく拒否した。
金髪ギャルは自分の声色にびくっと体を震わせながら涙目になっていた。横目に流しながらその場を離れていく。自分が去った後にポロポロ涙をこぼしている彼女を見ても何も思わなかった。
◇
「さぎさっち、何回女子を泣かせてるのよ……」
教室から出てすぐに待っていたのか若干引き気味な顔して手に肩を置いてくる。
人懐っこく外交的であり同じクラスの中心人物の一人、いわゆるカースト最上位である。しかし、小学校からの付き合いで腐れ縁というか幼馴染というかどちらにせよこいつだけには心を許している。
中学では共にバスケ部であり、県では名が知れたプレイヤーではあったが、自分はこれ以上名が知られたくないため高校からは部活には入っていない。
期待の新人ということで入学前からの練習で一年生ながらレギュラーとして抜擢されており、さらにはマネージャーが彼女という順風満帆な学園ライフを送っている。
肩に置いている
「知らないよ。大体何回も拒否をしているを知っているはずなのに話しかけてくる方が非常識じゃないか? しかも名前も知らないんだぞ。」
「それでも私ならイケるって思ってしまうのが女子なんよ。そもそもお前は――」
何を知った口で物を言っているんだ。と思いながらもペラペラ喋る親友から遮るように要件を聞いた。
「で、要件はなんだ。何もないなら俺は帰るぞ」
昇降口へと足を向けると、
「ちょいちょい! 今日なぎさっちの家に遊び行っていいかい?」
顔だけ振り返ると困り顔をしながら口だけ笑っていた。
まあいいだろう。今日は特に何もない。
「そんなことか。構わないぞ」
「おぉ!ありがとぉ!」
にぱぁと
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