第8話

「…ふ。え?何?由奈ちゃん届かないんですか~?」



からかってる、絶対にあたしのことからかってるー!



ムカついたから、脛を思いっきり蹴ってやった。



「いってぇぇ!!!」



孝は脛をおさえて床に座り込む。



あたしはそれを上からながめる。



なんか勝った気分!



「由奈、日に日に暴力的になってない?」


横では、陸が孝をみながらクスクスと笑っていた。




「ゆ、由奈ちゃん!何してんだよ!

そんなことしたら、殺されるぞ!」



後ろから突然、焦ったような声がきこえてあたしは振り返った。



声をだしたのは、モカちゃんの彼氏さん。



あたしは、首を傾げる。



何故か皆、顔を青ざめていた。



「あぁ、仕返ししてやりてぇ。」



孝はユラユラ立ちあがる。


その瞬間、モカちゃんたちは皆短い悲鳴声をあげた。



そんなにこわいのかな、孝が…?


よくわかんないなぁ、と再び首を傾げていると。



「いったぁぁい!!!」




思いっきり頭を孝にチョップされた。



「はっ、ざまぁみろ!」



孝は痛がっているあたしを見下しながらふ、と鼻で笑う。


ム、ムカツクー!!!



「…うぅ、來に言いつけてやるもん!」


「來なんてこわかねぇよ!」


「來をなめちゃいかんよ!


キレると恐いんだからー!」


「俺のミラクルスーパーチョップくらわせてやるから負けねぇよ。」




「ストップ。なんか変な話になってるよ。」




あたしと孝の言い合いを止めたのは、陸だった。



苦笑いしながらあたしたちをみている。



…はっ。



そうだ。來の話をしてて思いだした。



來に合コンのこと、正直に言うんだった!




「そうだよ、そう!來に言ってこなきゃ…。」



あぁ、大事なこと忘れてた…。



あたしは1人でアワアワとし始める。



と、とにかく來がいる部屋にいかないと!


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