第6話
ドンッ──
後方から扉を開けさせまいとするかのように扉に手を付かれ、私はその音に驚くこともなく、
「離してもらえませんか」
と淡々と言い放つ。…あぁ、面倒だ。だから関わりたくないのに。と思いながら聞こえないように小さくため息をつく。
「……お前」
声が聞こえ、ちらりと斜め上を見ると、灰色の髪がちらりと見え、
──ああ、御堂か。
と思う。
ここで普通の女子は顔を真っ赤にさせるのだろうが、私にとってはそんな敵意丸出しで来られたんじゃ胸キュンもなにもない。どちらかといえば大声を出せば誰か来るんじゃないか、なんて考えるレベルである。
「咲蘭にこれ以上重荷を背負わせんじゃねえぞ」
そう言われた瞬間、私の頭の中は『は?』の文字でいっぱいになる。
今までの咲蘭との記憶を思い返すが、特に何かした記憶はない。しかし、先程、文月薫や伊澄副会長との会話から察するに、咲蘭と生徒会との会話の中で私が咲蘭になにかしていることになっているのであろう、との結論に至るまで数秒もかからなかった。が、私は咲蘭に対してなにかした覚えはない。思うに、”咲蘭の姉”という立場にいるにも関わらず、こんな状態で学校生活を送っている私になにか思っている誰かが何かを言ったんだろうけど。
「…私はこれ以上あなた方に関わる気は無いので。失礼します」
御堂は不意をつかれたような顔をし、私は御堂が扉にかける力が抜けた瞬間を狙い、思い切り力を込めて扉を引き、早足で生徒会室を後にした。
……開くことに夢中で後ろにいた御堂の顎を頭突したことなんてお構いなしに去っていく。
「石頭かよ……」
李織に思い切り顎に頭突きを食らった御堂は、険しい顔で響く痛みに耐えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます