第3話 妹と二人でお夕飯
「ちょっと、お兄ちゃん?」
夕飯のカレーライスから目を上げると、心配そうな妹の顔があった。
「あ、ゴメン、ちょっと考え事してた。それでクラスの人が、何だっけ?」
「うん、その凄く落ち着いてる人、最近溜め息多いから声かけたの」
「おー、流石クラス委員、よく気付くな。それでどうなったの?」
兄の俺とは正反対の凛とした顔立ちをした美沙希が困った表情になった。
「それが片想いなんだって」
途端に今日の放課後、妹に片想いされている、と言って来た龍虎の事が思い出された。
「へ、へえ、ところで相談して来た人って女子?」
「当然よ、あたし男子の溜め息には興味ないもん」
「えーと、その人、何て名前?」
それに美沙希が視線を一度外して思案顔になった。
「龍虎って子。ちょっとお兄ちゃん、今の話誰にも言わないでよ」
「絶対言わないよ」
言いながら心の中で盛大な溜め息を吐いた。
おいおい、龍虎の兄と妹が点と線で繋がったよ。
「でもさ、その片想いの相手が誰か、全然言わないんだよね」
そりゃね、自分の兄貴に片想い、だなんて言える訳無い。
「お兄ちゃん、どう思う?」
「うーん、多分言えないような相手を好きになったとかじゃないか」
頭を掻いて目を戻すと、美沙希がこっちを見たまま固まっていた。
「そ、そっかあ、そういうパターンも、考えられりゅよね」
若干目を泳がせた挙句、噛んだ。
大体において頭がよく、ここ数年慌てる姿を見せた事の無いあの美沙希が。
「じゃ、じゃあ、お兄ちゃんはさ、その子がどんな相手を好きになったと思う?」
つづく
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