慣れ

そのまま下着をずらし口付けをする。


「んっ」


と小さな声が漏れ私の鼓膜を震わす。


「脱がせるよ」


体を震わせながら頷いたのを合図にあゆみの体に纏っていたものをゆっくりと脱がした。白く綺麗な肌があらわになりいじらしく触っていく。小さく声が漏れる。

 

 最初の頃はする度に緊張して手が震えていたが今は微塵も無くなっている。これが慣れというものなのだろうか。


 時間が過ぎるまであゆみのことを刺激した。利用時間が終わったらすぐ店長に挨拶をして店を後にした。


 手にはした感覚が残っているが、もう心にはその温もりはもう残っていない。なんとも言えない虚しい気持ちになった。もうあそこに通い始めて7年になる。でも心の底から満足できたことは一度もない。でも通い続ける。理由は分からないが仕事が終わると風俗へ足が動いていくのだ。


 スマホを取り出すと一件の通知が来ていた。今週約束をしている女性からだ。土日はやっていないからとする相手をネットで探し平日と同じようなことをしている。


【集合場所どこにする?】


相手と自分の家の中間にある駅の名前を入力しスマホを閉じた。

一週間で4回ぐらい誰かしらとしているがそろそろまずいと心のどこかで思っている。でもしないとさらに大きな虚しさに襲われるのだ。

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