第237話 ダンジョン(仮)攻略開始
地獄の穴のダンジョン化を発見してから数日後。
迷宮都市での情報収集を終了した
俺は
攻略メンバーであるリルとエンド、
一班はリルがリーダーで、二班はエンドがリーダー。
それぞれに
また、魔力吸収要員としてフェリス、穢れ対策としてワンダーを一体ずつ入れておいた。
現在は、リル班が
エンド班は俺のダンジョン内にいて、いつでも
『あー……しんどい……面倒くさい……』
モニターには門が映っている。このまま進めば、ダンジョン(仮)の中に入れるはずだ。
「もう諦めろって」
『でもぉ、めっちゃ視線感じるんですよぉ。〈コイツ一人で進むつもりかよ〉〈そんな強いようには見えねぇな〉って言われてるんですよぉ。そんなに見ないでください……俺、強くないです……疑いの目で見られたら、魔物だってバレちゃうぅ』
周囲に聞こえないくらいの小さな声で嘆く
一部のエリアが人数制限されていて、一度で六人しか入れなくなっているのと、現れる魔物の強さを鑑みての評価のようだ。
そんな場所に中級冒険者レベルの
「んー……狼族獣人に協力頼めばよかったか?」
『いえ、それはいらないです。この地域は亜人──人間以外の種族にちょっと偏見強めなので、喧嘩を売られる確率がむしろ上がりそうですし』
「なるほど、それじゃ、一人でがんばってもらうしかないな」
俺が咄嗟に思いつくようなことは、
でも、人間以外に偏見強めってなんでだろうな? 過去に何かあったんだろうか……。
『あーあー、行きたくない……』
嘆きながらも足を止めずにちゃんと向かってる
「がんばれ、がんばれ、
歌って応援してみたら、俺の傍で寝そべっていたミーシャに呆れた目で見られた。
『……なんか音程が変にゃ』
「えっ、俺、音痴じゃないはずだぞ……?」
予想外の評価に、俺は目を見開いて固まる。
日本で生きてた時に、歌が下手なんて言われたことないんだけどな?
職場の人と付き合いでカラオケに行くと、マイクが回ってくることが少なかったけど。
それは、歌が好きなヤツに譲ってただけだし? わざわざそんなところで歌いたくなかっただけだし?
『気が抜ける歌なので、ない方がマシですね』
「ひどくね?」
応援しようと思っただけなのにぃ……。
『さぁて、余計な力が抜けたところで、行きますよー』
俺が八つ当たり的にミーシャをワシャワシャと撫でている間に、
モニターに岩壁が映る。
これまで見た地獄の穴(一面が灰色の雲みたいな感じ)とは全然違っていて、ここをダンジョンと認識するのも仕方ない。
『最初のステージは洞窟タイプらしいです。俺たちのダンジョンと一緒ですねー』
「ダンジョンといえば洞窟っていうイメージあるんだよな。環境設定に消費するDPが少なくて済むし。そこが同じシステムなのかはわからないけど」
真面目にダンジョン(仮)内を観察。
見た目は俺のダンジョンの
だが──
『……事前に調べた情報通り、岩とは思えない質感ですね』
他の冒険者がいない行き止まりに来たところで、
岩壁はマシュマロでも切るかのように傷跡ができた後、ゆっくりと修復していく。
そもそも傷がつかないダンジョンの洞窟とは大きな違いなのだが、人間はそういうことがよくわかっていないのか、〈特殊な洞窟ダンジョン〉という認識がされているらしい。
「変な場所だなぁ。地獄の穴も変な見た目だったけど、ここはそれにダンジョンの見た目だけ被せたみたいな……」
そう呟いたところで、これが答えになり得るのでは、と気づいた。
ミーシャに目を向けると、同じ考えらしく小さく頷かれる。
地獄の穴に幻影か何かでダンジョンの見た目をつけたら、こうなるのかもしれない。
となると、このダンジョンを管理する者がいるとして、それは〈幻覚〉的な能力の使い手の可能性がある。
『なるほどー。じゃあやっぱり、ダンジョンというより地獄の穴にいるものと考えておいた方がよさそうですね』
そう言った
行き止まりの道から出てきた
このダンジョン(仮)は、冒険者たちによって攻略済の場所はすべて地図が出回っているのだ。
わざわざ行き止まりに行く者なんてそうそういない。
『あはは、地図は持ってますよ。ただホントに行き止まりなのか気になっちゃって』
[観光気分かよ。怪我する前に帰った方がいいぞ]
[ここは、最近噂されてる美食のダンジョンと違って、怪我しても出れば回復なんてスゲー仕組みはないからな]
[普通に死ぬぞ]
同じ道を進む流れ上、同行することになった
世話焼きな人たちのようだ。
そんな彼らと会話しながら、
まあ、全部既知の情報だったけどな。
そういう地味なことを辛抱強くできるのは、
帰ってきたら、美味い酒と飯を褒美として出してあげなきゃ。
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