第184話 新たなモフモフを創ろう

 魔物創造。

 そんな興味を引かれる言葉を見て、確認しないわけがないだろう。

 すぐさま表示をタップすると、一瞬で画面が切り替わった。


 ……このシステムも、邪神のおかげで使えるのだと考えると複雑な気持ちになるけど、今は気づかなかったことにしておこう。


 切り替わった画面には〈魔物創造〉というタイトルの下に、各ステータスのパラメーターや見た目の選択などの項目が並んでいた。

 見ただけではよくわからないから、試しに操作してみる。


「えっと、攻撃力0で……でも、殺されたら嫌だな……うん、素早さMAX、防御力MAXにしよう」


 パラメーターのバーを動かし、ステータスを作っていく。

 攻撃力と素早さ、防御力以外は適当に。


 すると、一番下に表示されていた〈一体召喚の際に消費するDP〉が0から千に変わった。

 スライムを召喚するより高いけど、このくらいは許容範囲だな。


 ただ、召喚という選択はまだできない。魔物の見た目を決めてないからだ。


「見た目は……もふもふで可愛ければいいし……」


 とりあえず、丸い毛玉にしてみた。大きさは手のひらに乗るくらい。色はとりあえず白。

 つぶらな目が二つ。口はうさぎっぽい感じに。これなら、牙がないから怖くないし。

 全体像も、スライムの体を元にした感じで、丸っこくて可愛らしいと思う。


「お、いい感じじゃないか?」


 タブレットの画面に、丸い毛玉のようなモンスターが映し出される。

 それはぽよんと跳ねたり転がったり、仕草もなかなか可愛い。


 耳とかはあとで考えよう──と、選択できるようになった召喚ボタンをタップしてみた。

 ちなみに、消費DPは千五百。見た目の選択って、結構DPを使うんだな。それでも、サイズが小さいから、消費量は許容範囲内だ。


「みぅ」


 俺の目の前に毛玉が現れた。つぶらな目が周囲を見回した後、俺を見上げる。

 ……いつまでも毛玉と呼ぶのはダメだし、〈モフタマ〉と名付けておこう。


「はじめまして。お前の種族はモフタマな」

『マスター、はじめまして。僕、モフタマ!』


 両手で器を作るようにしてモフタマを乗せると、狭いそこをコロコロと転がった。

 可愛い。そして、触り心地が抜群にいい。くすぐったいけど、幸せな気分になる。


「おー、なかなかいい感じじゃないか?」


 手を傾けて転がしてやると、モフタマが『わぁい!』と喜んだ。

 可愛い。無邪気なところがリルに似てる。色も白で一緒だし。


『新しい仲間? ……うーん、強さがわかりにくいね。強くはなさそうだけど、弱くもない?』


 リルが興味津々な感じでモフタマに鼻を寄せ、クンクンと匂いを確かめながら呟く。

 匂いで強さがわかるもんなのか?


『倒すのは無理にゃ。でも、ミーシャが傷つけられることもないにゃ』


 ミーシャは不思議なものを見る感じでモフタマに視線を向けて首を傾げた。

 確かに、モフタマは攻撃力0だから、誰かを傷つけることはないな。代わりに回避力と防御力が凄いけど。


「モフタマ、全速力で移動してみてくれ」


 草原に下ろして指示を出すと、モフタマが心なしかキリッとした雰囲気で『わかった!』と応えた。

 そして、草原を転がり始める──って、全然見えないんだが!?


「え、モフタマ、どこだ?」

『ここだよ?』


 いつの間にか俺の後ろにいた。

 瞬間移動か? いや、でも、草が揺れるのは見えたし……マジで高速の移動だった?


「すごい速いなー」

『でしょ! マスターのおかげ!』


 ぽふんっ、とモフタマが膨らんだように見えた。その仕草も可愛い!


『……僕でも、見えなかったよ??』

『驚きにゃー』


 リルとミーシャが、モフタマを見つめてパチパチと目を瞬かせる。

 え、この二体に見えないって、モフタマの速度凄すぎでは? さすが素早さMAX! そのステータスだけなら、リルを超えてるもんな。


『く、くやしい〜……』

『ボクたちより、はやいの〜?』


 影兎シャドウラビたちが衝撃を受けた様子で固まっていた。

 これまで、すばしっこい魔物と言えば、影兎シャドウラビって感じだったもんな。立場が揺らいだ気がしたのかも。


 でも、影兎シャドウラビのいいところって、素早さよりもっと他にあるだろ。


影兎シャドウラビたちは影渡りが一番自慢の能力じゃないか。まさしく、瞬間移動って感じだろ? すごいよ」

『そう? そうだよね〜!』

『ボクたちすご〜い!』


 一瞬で機嫌が回復する影兎シャドウラビたちの単純さが愛しい。

 リルを筆頭に、俺のダンジョンにはこういうタイプが多い気がする。

 性格って環境によって決まるとよく聞くけど……俺が召喚したからってわけじゃないよな? 俺、チョロくないぞ? 似てないよな?


『すごーい!』


 影兎シャドウラビたちの周りをモフタマがコロコロと転がりながら褒める。

 その姿を影兎シャドウラビが捕まえようとして、スカッと空を切った。一瞬でモフタマが逃げたらしい。さすがの回避力だ。


 でも、そのせいで影兎シャドウラビの闘争心(遊び心?)に火がついたようで、モフタマvs影兎シャドウラビの追いかけっこが始まった。


『ふあー、追いかけてくるー♪』

『まて〜!』

『つかまえてやる〜!』


 双方が楽しそうで何より。

 とりあえず、モフタマが人間に殺られることはなさそうだし、ふれあい対象にちょうどいい気がする。


「よし、たくさん召喚しよう」


 今は耳なしバージョンのモフタマを創造したけど、うさ耳や猫耳、犬耳など、多種多様に用意することにした。もちろん、色もカラフルに。

 目で見て楽しめ、触れて癒やされる、新たな魔物の誕生だ!


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