第8話

「おい、千冬‼」


「何、葵」


「何で泣いてんだよ、

 あいつに泣かされたのか?」


「秀ちゃんは悪くないよ。

 それにもう諦めることにしたんだよ」


「ふ~ん、あのお前がね」


「だから、明日秀ちゃんと遊園地デートするんだ」


「へぇ、頑張れ」


「おう、頑張ってくるわ」


 葵は触れられて欲しくないところは絶対に触れないから、


 こんな関係を続けられるんだろうな


「なぁ葵」


「おう」


「ありがとな」


「何だよ、急にお礼なんて言って熱でもあんのか?

 気色わりぃ」


「あ?

 何だとっ‼

 素直に受け取れや」


「へぇへぇ。

 知らんけど、どういたしまして」


「最初から素直に受け取っとけや」


「あぁん?

 むかつく野郎が」


「野郎じゃありませぇん。

 私女ですぅ」


「さっきまでしおらしかった癖によぉ」


「うっせ」


 こうやってしょうもないことで喧嘩するのも、

 もう終わりかと思うと寂しいな


 まだ、自分にこんな情があったのかと驚くが、

 悪い気はしなかった

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