マバライのララバイ

山南こはる

プロローグ

【1:本気ですよ】

 夏至祭の日の深夜、赤々と燃える夕日を背にして彼は言った。


「どこかで私を暗殺するなり、不慮の事故に見せかけて殺せばいいんですよ。それであなたは本当に好きな人と添い遂げればいい。私とではなく」


 色が抜け切った白い髪に、陽光が透けて金色に輝いている。

 そして彼は、目を伏せてぎこちなく笑った。

「本気ですよ、私は」

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