愛の答え
NiceWell
第1話「真実の果実」
「憂塚朝だぞ」
「なんだ白瀬、時とともに起きる必要はないだろ」
「なにを言いますか、朝は起きる、基本です」
「常識から学んでも、人間は変わるんだよ」
「だったら、もう一度学んでください」
「もう大人だ再教育はできん」
「世界にはお稽古とかありまして、それで学べますよ」
「そうか、では、その軍資金は君がくれるのかね」
「いえ、それは稼ぎましょうか」
「学ぶために仕事について金を稼ぐか、なんか意味が違うような」
「いえ、これもまた社会という円環の法則です」
「そうかい、では作家になろう、」
「なにを言いますか、」
「外出せず、寒暖関係なく、己の意を書き記す、実にアットホームで平和な職だろ」
「そのように、軽んじてるあたり、子供ですね」
「では、他に私に向いてる仕事のあるのかね」
「なんで聞くんですか、その時点で人間失格ですよ」
「いやー何を言うか、私は賢者であるが故に、己の才覚を自覚すると、世界が小さくみえてしまうんだ、万感の王だと知ったら、君らは無礼をはたらけないだろ、つまりは自覚しないことが君らのためなのだよ」
「では、その名の下に豪奢に生きてください」
「なな。食えないやつだな」
「ま、誰しも得がたい夢はあります、それがなんであれ、鼓舞するあたり、やはり見栄っ張りですね」
「誰しも、己に才を見て、飛躍する、それは希望とも等しいものだ、故に私は間違っていない、言うならば夢を語る、理想家なのだよ」
「そうして、すべてを前のめりに考えるあたり、自己愛強いですね」
「はは、笑わせるね、うぬぼれこそ最たる自身を招いてくれる、誰も下を見て前は見れないだろ?」
「そうですね、先生って言葉を巻いて、それをオーラにするくらい、言葉で素質を漂わせていますよね」
「いいではないか、誰しも、未来を歩もうと、力を入れる、それは勇ましい現れだ、故に誰もがいきんだほうがいいのだよ」
「やっぱりポジティブですね」
「君は、無遠慮ながらも図に乗らないあたり、日々工面してるんだなと努力を垣間見るよ」
「先生はやっぱり優しいですね」
「はは、だがしかし息んでる訳ではない、有り体の話、私が君より修羅を超えているだけだよ、故に高尚に見える、それは、言い得て、錯覚でもあるがね、しかして万を逸するのは、いつの世も、立役者あっての前役者、それが世の常だろうね」
「一人では、何もなせないなんて、人もまた不出来なようで、よく出来てるなんて思えます、先生と出会えて良かったです、なんて、」
「はは、なんだその口ぶりは、まるで前議も何もなしに独りでに思い至りよって、しかして、不満はない、私こそ、言おうか、君なしでは明日の頼りもみつからなかったろうな」
「ええ、いくらでも頼ってください、いつだってお仕えします」
「はは、では、作家になろう、そして君とうまい飯を食って祝おうか、」
「なんです、それっぽっちですか、」
「いいだろ、幸せとはね、もう、見つかったようなものだからな、」
「なんですかーそれ、もしかして告白ですか」
「はは、腹を痛めてしまうなこれでは」
「なーに笑ってるんですかー」
「いいや、それでもいい、腹を抱えてでも、君と生きたい、それでもいいか」
「ええ、いいですよ、好きなだけ、わらってください」
「そうか、ならばまだ道は険しそうだ」
「どういうことですか、」
「はは、それこそ、ものだねだろ、事を見るものは事を成せる、それだけさ、いづれ君も笑わせてやるって事さ、なんて少しくどいかもしれないがね」
「いいですよ、それでも、ふたりがわらえる未来に生きましょうね」
「ああ、その道はきっと険しくもまた、超えたい未来だね」
「ええ、未来でまってます、いいえ、未来より先に、今からもう好きにさせます、笑わせます、だからもう安心してください、ここはもう二人だけですよ、ほんとにほんとに」
「ああ、ならば行こうか、いづれ思い返す、二人の未来を置いて、どこまでも行こうか」
「ええ、永劫まで、その先の、普遍まで、そしてもっと先の、代えがたいすべてを抱いて、生きましょう、いいですよね、先生」
「ああ、そうだな、まるで夢のようだよ、きっと言葉を超えてもその先に心がある、だからそうだね、今はただ歩こうか、そっと歩こうか」
「ええ、せんせ、まるで世界に二人だけ、これってもう、見つめ合ってる証拠ですね」
「そうだな、まったく、君もすでに私を見ていたか」
「ええ、あたりまえです、それが、愛ですから」
「はは、そうだね、愛か、確かに愛だ、きれいだね、本当に」
「ええ、愛は決して、止まりません、だから、生きてる間だすべて、愛なんです、これってもう愛があるから生きてるみたいですよね」
「愛のために生きる、か、いいや、愛を守るために生きる、いいや、愛を愛を、、、わからない、それでも、君は愛らしい愛を知ってる、それは愛であり、根源であるのかも知れない、だから私も生きてるんだ、生きてるんだよな」
「ええ、せんせ、その通りです、二人は生きてます、だから愛が見えるんです、こんなにも強く、涙が出るんです、こんなにも強く、失えないと、心が痛むのです、だから消えないでください、絶対に居なくならないでください、あなたは決して、死なないでください、それだけ、いいえ、生きてわかるまで、生きて、良かったって言えるまで、決して、孤独に打ち震えないでください、まるで世界が不条理でも、ここには私が居ます、まず私がずっと居ます、だから、ただ強く、そばで、離れず、大切に、何もかもを思って、ただ傷つくことなく、ただ、抱きしめ合える、そんな単純さでいいから、生きてください、長い時間を超えて、惜しむほど経験して、もっとわかり合えるまで愛を理解してみてください、きっとそれがあなたを救うと思います、あなたを変えると思います、だから生きて、なんでもいいからいきてください、それだけ、それだけです、あなたが居ればいいんです、それだけなんです、すべてなんです、ほんとに、ほんとに。」
「なぁ白瀬、君はやはり心配性だね、とても優しいね、でもね、大丈夫だ、私はね、生きることを怖がっては居ない、だからね生きるよ、どこまでもね、君と生きて君のように心配を抱えてしまう、自分より誰かを見てしまう、そんな私なんだ、だから君が笑うとね、私も幸せなんだ、とてもとても心が震えるんだよ、だから、君と私はきっと長く生きれる、いいや、ずっと、どこまでも行ける、そう信じてるよ、ねぇ白瀬、まだ終わらせないだろ」
「ええ、どこまでも、どこまでも、」
「そうか、なら私も、どこまでも、行くよ、君とともにね」
「はい、」
「きれいだ、」
「ええ、せんせいも」
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