第3話 着信拒否
ピリリリリ ピリリリリ
尚子の携帯が鳴っている。
「あれ?知らない番号だ」
尚子は着信を無視した。
「なんか知らない番号とか、かかってくると怖いよね」
由美が言う。
「うん。用件があるなら留守伝に入れるだろうしね。
ほら、留守伝残さないで切れちゃった」
尚子はそのまま携帯をしまった。
しかし、それからも着信は続いた。
その知らない番号からだ。
尚子は無視を続けていたが、何度もかかるようになり薄気味悪く感じるようになった。
「一回出てみればいいじゃん。
もしかしたら、知ってる人が携帯変えたって連絡かも知れないし」
由美が言う。
「うん。そうだね」
尚子が答えた瞬間
ピリリリリ ピリリリリ
「あの番号だ」
尚子の携帯が鳴った。
「出てみるね…。
もしもし……」
「た・・たすけて・くれえぇぇぇ・・」
男の呻くような声だった。
「いやっ」
プチッ
尚子は不気味な声に驚き携帯を切った。
「どうしたの?」
そんな尚子の様子に驚いた由美が聞く。
「気持ち悪い男の声で『助けてくれ』って言われた…」
尚子は震えながら話す。
「うそ!…キモイね…」
怯えている尚子を見て由美は
「いたずらだよ。多分暇な変態が適当に電話していたずらしてるんだよ」
と尚子を宥めた。
「そうかな……」
「大丈夫だよ。でもその番号は着信拒否にしておいたほうがいいね。
そうすれば、向こうも諦めるよ」
由美は尚子の肩を叩きながら言う。
「そうだね。着信拒否にしておこう」
尚子はその場で今の番号を着信拒否に設定した。
その夜
尚子は寝る前に携帯を見た。
「!っ」
携帯には四十二件の着信が残っていた。
着信拒否にすると呼び出し音は鳴らず、着信拒否の応答メッセージが流れるが、着信履歴は残る。
「なんでこんなに着信が……」
着信は全て、あの番号だった。
「!っ」
尚子は携帯本体の留守伝にメッセージが録音されているのに気がついた。
録音は、その番号のものだった。
「なんで?…着信拒否にしてれば録音なんてされないはずなのに…」
本当なら聞かずに消してしまいたいのに、何故かそれができなかった。
まるで何かにとりつかれたように再生ボタンを押し、携帯を耳にあてた。
「おまえが…電話に出ないから……」
あの男の声だった。
「…おれは……………お、れ、は………」
しわがれた不気味な声が叫んだ。
「死んじまったじゃねえええかあああああああああああああああああああああああああ」
ツーッ ツーッ ツーッ ……
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