聖女の前日弾 2
「こんなの許せるわけないでしょ!!」
「でも、私が悪いのも事実だから」
教室内でそう言って激昂しているのはフランソワであった。
聖女としての修行のため、ウラヌス様、クライ様、テゴリア様と時間を共にする事が多かったのです。
しかし、それがウラヌス様の婚約者であるアンヌマリー様の気に障ったのでしょう。
婚約者のある男性と時間を共にするものではないと、叱責を受けた上で頬に平手打ちをされてしまいました。
叩かれた時にはショックで動けなくなりましたが、確かに婚約者のいる男性と仲良くしすぎた私がいけないのです。
ですが、目の前にいる友人にはそんな理屈は通じない……理屈抜きで怒ってくれるフランソワに傷付いた心が癒されるのを感じます。
「リリアーテが悪いわけないでしょ!
貴女は聖女の仕事を全うしているだけなんだから。
……私、やっぱり我慢できないからガツンと言ってくる!!」
「あ、待って!
もうすぐ授業が始ま……」
止めようとした時にはフランソワは駆け出して教室を飛び出してしまいました。
私も一緒になって飛び出すわけにはいかず、先生には体調不良と説明して何とか事を納めたのですが……授業が終わった後にフランソワは浮かない顔をして戻ってきました。
「ああ、無事に帰ってきて良かった」
「リリアーテ、学校が終わったら貴女の部屋に行って良いかしら?」
「え、ええ……もちろん」
あまりにも真剣な顔をして話すフランソワに了承します。
この学校は通えないほどに遠くの領地のものは寮に入っており、私もフランソワも当然ながら寮に住んでおります。
流石に貴族の学校なので1人一部屋ですね。
その日、学校が終わってそのままフランソワと共に自室へと戻りました。
「それで、何があったの?」
「先ずは何も聞かずにこれを見てちょうだい」
フランソワはそう言って魔法を展開します。
彼女は映像魔法と呼ばれる魔法が得意で、一時的に場面を記録して再生することが可能なのだそうです。
この魔法を授業で駆使して勉強しているために、成績はトップクラスに良く、私もその恩恵に預からせてもらっています。
そんな彼女の映像魔法ですが……再生された画面に映っていた人物を見て衝撃を受けます。
「リリアーテ様……」
そう、そこに映っていたのはアンヌマリー様様だったのです。
周りの景色を見るとその場所は学園内の外れにある教会の中でした。
そこでアンヌマリー様はキョロキョロと辺りを見渡し、周りに人がいないと確認すると(実際にはフランソワがいたのに気づけなかったわけですが)、女神像の前にしゃがみ込み、祈りのポーズを取り始めたのです。
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