4 ドラゴン討伐出発!
新星と呼ばれる少女から恐怖の理由を聞いたとき、俺は考えていた。
――もし漫画の主人公たちなら、こんなときどんな行動を取るだろう?
答えは当然、「手伝う」に決まっているッ!
そんな主人公たちの姿が脳裏に浮かび、俺は背中を押されるようにドラゴン討伐の冒険へと出発した。
街を出て森を進む中、レリィが話しかけてきた。
「愚問だけど、魔導力は当然使えるのよね?」
【魔導力】――この世界のあらゆる存在が持つ力。初めは使えなくても、自転車の乗り方を覚えるように練習すれば、誰でも扱えるようになるという。
彼女の問いに答えようとした瞬間、突然――!
森の中から魔獣【人喰い大蛇】が姿を現した!
ドラゴン以外の魔獣相手なんて面倒だから、レリィに任せようと
――おいおい、ドラゴンに似てるだけでダメなのかよ!?
【人喰い大蛇】は確かにドラゴン系統に分類される魔獣だが、これで怯えていては先が思いやられる。しかし、ここは俺の実力を見せるチャンスでもある。
俺は拳に魔導力を込め、飛びかかってきた大蛇に渾身の一撃を叩き込んだ。
大蛇の巨大な頭部が吹き飛び、そのまま地面に崩れ落ちる。
【魔導力に重みを与える力】――山での修行で得た能力だ。
「このとおり物理系なら任せとけ」
そう言いながら拳を見せつけた
その後、道中で魔猪や魔犬なども出現したが、ドラゴン系以外ならレリィが剣でいともたやすくスパスパと切り伏せていった。
「ドラゴンの目撃場所はこっちよ」
そう言って地図も見ずに進む彼女に、俺は思わず聞いた。
「やけに詳しいな」
「当然よ。あたしの村はこの辺りにあったの。昔、よく遊び回ってたから道は覚えてるのよ」
目撃場所に近づくと、またしても魔獣が現れる。今度は
――まずい…。
幽霊は神秘系の魔獣。物理系のダメージは通用しない。俺の能力では手も足も出ない相手だ。だが、レリィは余裕の表情を浮かべ、剣を構えていた。
「神秘系の魔獣相手に無力なんて、まだまだね。あたしに任せなさい」
彼女は剣に魔導力を込めると、青く輝き始めた。それをその場で一振りするや、剣から放たれた斬撃が幽霊を真っ二つに切り裂いた。
――さすが、不敗のレリィ。
彼女は物理系も神秘系も扱える万能の使い手だった。
やがて目撃場所に到着すると、レリィは周囲を見回し、低くつぶやいた。
「どんどん…あたしの村に近づいてる…。まさか…」
彼女の視線の先には、巨大な影があった。
――真っ黒な鱗に覆われた体。人間の髑髏を模した顔。そして、その眼窩に輝く血のように赤い瞳…。
さらにその片目には、折れ曲がった古びた槍が深々と刺さっていた。
「まさか…あの時の…!」
レリィの身体は怒りとも恐怖とも言える震えに包まれていた。
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