カナリアとダンの冒険

Karura

第1話 賢者の石

「ジョンは賢者の石を見つけ、その粉を使って妹の病気を直したとさ。おしまい、おしまい」

「おかあさん。おかあさん。もう一回!もう一回!」


 ジョンと賢者の石、ボクが一番好きなお話だ。病気にかかった妹助けるためにジョンがどんな病も治る賢者の石を探して洞窟を冒険する話。


「ダン?明日も早いでしょ?また明日も読んであげるからもう寝なさい」

「えぇぇ」


 おかあさんは体が弱い明日も起きているかなんてわからない。


「ごめんね」


 おかあさんはよくごめんねと言う。何も悪いことをしてないのに……


※※※


 黒い煙、たらされたロープ、歯車がきしむ音、大人たちの怒号、ここは採掘場ボク達、子供の職場だ。

 今日も、今日とて炭鉱へとおろされる。


「よぉダン!今日も同じ配属だな」


 ロープを離し、穴へ降りると仲間に話しかけられる。


「ローブ、口ぐらい覆ったらどう?」

「ただでさえ窮屈で息苦しいのに、覆ったもっと苦しくなるじゃないか」

「死んでも知らないよ」


 冗談にならない冗談を言いながら、狭い穴の奥に進む。薄暗い炭鉱はトロッコが通るほどの横幅と、ぎりぎり立てるぐらいの高さしかない。


「んじゃぁ進むか」


 突き当りにつくとローブはつるはしを振るい岩の壁を壊し始めた。ボクは砕かれた石をトロッコに積んでいく。


砕く


運ぶ


砕く


運ぶ


砕く


運ぶ


 何時間この作業をやっただろうか、体感、六時間ぐらいやった気がするが、あいにくボクの体内時計は正確ではないのでおそらく二時間もたっていないのだろう。


「そろそろ柱立てるか」

「うん」


 ずっと石を運んで疲れたボクはそんな返事しかでなかった。


「ダンは少し休んどけ俺が立てとく」

「うん」


 ローブは優しい、体が小さいボクを気遣ってオトナに見つからないように休ませてくれる。


「そういえば、お前のかーちゃん。調子どうだ?」

「昨日はいつもより元気でジョンと賢者の石を呼んでくれたよ」

「お前はそれが好きだな」

「だって、だってボクもこの坑道を進めば賢者の石にたどりつくかもしれないんだよ!?そしたらおかあさんの病気も治るし……」

「……そうだな」


 ボクの話を途中で遮ってローブは頭をなでてきた。


「やめてよローブ」

「俺はにぃーちゃんだからな」


 そう言いながら、まだ頭をなでてくる。ローブは変な顔をしてた。


※※※


 あとがき

 

 次回!ヒロイン登場!かも!?


 いいね、コメント、星を付けてくれると、作者が泣くほど喜びます。




 





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