第15話決意

 克馬がいなくなったあと、俺はグラウンドで座って空を見ながらボーッとしてただただ、無意味な時間が過ごしている。ジリジリと肌を焼くような太陽の日差しが少し心地よく思えた。

「フゥ、とりあえず、自分に出来ることを全てやろう、じっくり作戦を練って奴を必ず殺して見せる。」

 このままでは、奴に確実に殺されるだろうだが策を用いて奴と相対すれば、勝つ確率は格段に上がるだろう。

 だが考えつくものは、奴には無意味なものしかない。奴と敵対した瞬間、殺せるチャンス一回だけだろう。そう考えると不意打ちしかないだろう、失敗は許されないが一か八かのこの戦いにはもってこいだろう。

 そして失敗したときのことも考えなければならない、ヒット&アウェーは奴には通じなかった近接攻撃は奴に必ずよ蹴られるし当たったとしても硬質化で必ず、防がれてしまうどうする、どうすれば。

「おーい、蒼梧そんな所でさっきからボーッとしてどうしたんだい。」

 グラウンドに通ずるドアからこちらに向かって手振って大きな声で問いかけてくる。すぐに立ち上がり、克馬の方へゆっくりと向かっていく。

「なにもねぇよ、ただあんたにどうやったら勝てるか考えてただけだよ。」

そう答えると克馬はフリーズした、すぐに我に戻りニコっと笑った。

「なにお考えてるのかと思えば、まぁいいか、よっし特別に僕の能力について少し話そうか。」

 まさかこんなチャンスが巡ってくるとはな、ここでこいつの弱点を誰だけ聞けるかが肝になってくる。気になることをすべて聞いいこう。

「なんで使える能力がそんなに少ないんだないんだ、あんたの能力ならいっぱい持っててもおかしくないだろ。」

 こいつはもしかしたら、まだ使える能力を隠しているのかもしれない念のため聞いておく必要がある。

「簡単に言えば、体に合う能力ってものがあるんだよ、まだ何個か持ってるけど、君に教えた能力ともう一個の以外は全く使えないんだ、君にあげた能力も僕じゃ全然使えなかったんだよ。」

 なるほどそういうことか、だがなぜ俺がこのナイフの能力と銃を作る能力がなぜ俺が使いこうことができると思ったのだろうか。それともう一つの能力これも、すごく引っかかる。

「じゃあ、なんでくれたこの能力が俺が使うことができるってなんでわかったんだ?」

 そういうと克馬は少し言葉を詰まらせている様子だ、何か隠しているのかそれとも。

「なにが使えて、かなにが使えないかが、なぜかわかるんだ。頭にぽっとうかんでくるんだ。」

 前までの俺なら、克馬の言葉を疑っていただろう。だがこいつは、俺に能力を明かしたところでなんの支障もないと言う男だ。おそらくこんなところで、嘘はつかないだろう。だが一応鎌はかけておこうか。

「うかんでくるって、どういう感じなんだよ。」

 少し微笑を含ませながら聞いてみる、克馬は顎に手を添えて頭をかしげた。

「なんて言ったらいいんだろうか、絵みたいなのが浮かんで来るんだ。」

 嘘ではないっぽいな、とりあえず次の質問をしよう。

「もう一個の能力ってなんなんだ。」

 今話していた中で一番引っかかっていた言葉だ、それが俺に取って害のあるものかどうかそれが気になる。

「蒼梧聞いて驚け、それはな不老の能力だ。まぁ不老と言っても、傷を負ってしまっても君のようにすぐに傷が治ったりするわけじゃないけどね。」

 なるほどね、こいつは俺の能力を奪って不老不死の完全生物になるってことね。だが異能力は俺のように訓練をして強くなるものはあるが、そのほとんどが産まれてからその力が変わらないのがほとんどだ。こいつはまさか。

「そんな能力どこで手に入れるんだよ。」

 そう聞くとニコッと克馬は笑、腕を組んで誇らしそうな態度をとった。

「ある村で神様のように、祀られていた赤ちゃんがいてね。20年間、一切歳を取らず産まれたままの姿でいたんだ。とある日その子の母親だという人が来てね、息子を取り戻してくれと、泣きながら頼まれたんだ、だから能力を奪って救ってあげたのさ。」

 克馬は話終わると、不気味なくらい頬がつり上がる。その姿を見ていると膝が少し震え、鳥肌が立ってきた、こいつは20年生きているとはいえ、なんの罪もない赤ん坊を殺したのだ、これは決して許されざる物ではない。この吐き気をもよおすほどの嫌悪感は決して忘れてはならない物だと実感した。

「そうかすごいな、だが能力は同時に二つ使うことができないのなら、不老の能力を使ってる間、他の物は使うことはできないんじゃないか。」

 そう聞くと、不気味な笑みは収まりいつものふざけた見下した表情に戻った。

「君と僕みたいな特質的な能力とかなら、同時に使っていても全く問題ないんだ。」

 なるほどそういうことか、だが一つ不明な点ができた、こいつには使えることのできない能力があるのなら、俺のこの再生能力ももしかしたら使えないかもしれないんじゃないか。

「よしじゃあ、話は終わり部屋に戻った戻った。」

 そういうって克馬は、俺の肩を叩いて何処かに行ってしまった。

 聞きたかったことは全て聞けたわけでは、だがなんとかするしかない。俺はこんなところで死にたくはない、生きたいのだなんとかしなくてはならない。今の俺に出来ることをして、生きるためにもがいてやろうじゃないか、絶対に俺はあいつを殺してみせる。

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