第8話記憶

「はぁー、目が飛び散りそうなくらいいろんな所を探し回ったのに、成果は消費期限が2年前のカンパンと3年前のツナ缶が一個ずつってどういうことだよ。しかもスッゲー腐臭もするし、最悪だ。」

 何にもなかったスーパーを出てからボロッボロの誰も入りたくないような、家を隅から隅まで探してもこの程度の成果しか得られなかった。

「もー最悪だよー。俺の堪忍袋の尾が切れちゃうよーまた頭おかしくなっちゃうよー。」

 一人っていうのは本当に辛い。今まで1ヶ月以上誰とも喋らないって事が一度もなかった何時も師匠や、あの3人がいたから孤独を感じて来なかった、、

 おい待て。あの3人てなんだ思い出せない、その記憶だけじゃない。やはり龍二に殴られる前の記憶がポッカリ抜き取られている感じだ。そしてすり替られ

「おーい。」

 ん?このアホな感じの呼び方もしや!

俺は喜びのあまりおもっきり飛び跳ねて泣きながら淡い期待を添えて全力で手を振った。

「おーーーい、ここだよーー師匠ー。」

 そう言うと、ヘリコプターのドアから身を出し青ざめたニヤけた顔で俺の目を見つめてくる。

てか迎えって早くないか後14日位はあるはずだ。

「何かあった、ううわあぶな、何してくれてんだあんた!」

俺がまだ話している最中なのにお前の話など聞きたくないと言わんばかりに梯子を鼻先すれすれに下ろしてきた。 

「とりあえず乗って、オロロロ。」

 あの人、限界だったんだろうな早く降りたかったからこんなに急かしてきたのか。これでまた弱点が発覚した。弱っている時のあの人の思考は単純になるな師匠は。

「よう、いい面構えになったじゃないか蒼梧。この2ヶ月地獄だっただろ。」

 登りきってヘッドホンを付けているとニヤニヤした顔で俺のほっぺを突きながら、煽り口調で話しかけてくる。この人落としてもいいのかなもう夕方だからあの化け物たちの助け借りてもいいよね。

「そうだねぇーろくに説明せずに下ろしやがって、食料も一つたりともに無いから、俺、俺、、ゴキブリばっか食ってたんだからな!」

「まー、今回はすまなかったこちらのミスで国が立ち入り禁止にしている場所に不法侵入していることがバレかけてんだ。」

えぇ?む無視、てか国が禁止とか不法侵入とかどう言うことなんだよ。

「まーこの1ヶ月でも一皮いや人の皮が破れたんじゃないか、なよかったなおめでとう!」

「おいおい、何いい話みたいしようとしてんだよ。」

 あーこの人といるとほんとに、本当に自分のリズムが崩される。でも今はこの人との話が本当に楽しいこの地獄の間誰とも喋らなかった、せいなのか今までだったらイラついていた会話でも今では、嬉しくて微笑んでしまう。

「そんな事より、君に謝らなければならない事があるんだ。」

 急に改まって俺に今からはおふざけ無だと言う目線とともになんとも言えない重たい空気にしてくる。

「もしかして、俺の記憶のことですか。」

「え?」

あ、あれ師匠なんか目がうろちょろしてるんですけど。ちょっと汗ばんできてるんだけど、もう見てられないんですけどこの姿。

「ななな、なんのことかなー、全くわかんないな〜、アハハァ、ふぅー、さっ本題に入ろう。」

こいつ今話しそらしたよね、何も聴いてないことにしたよね。

「実はな、お前が入ったこの地域は国の実験施設の廃墟なんだ。」

「えて言うことは。」

ん?なんかまずい事でもあるのか、みたいな顔で首おかしげ師匠に向かって視線を送る。

「そうだな、まー君が犯罪者になるまでに君を拾ったから問題ないよ。さぁー話も終わったし家に帰るまで待つかー。」

 そんなことよりだ、俺の知りたい真実はそれじゃない犯罪者とかどうでもいい俺は、なんで龍二に気絶させられる前の記憶が一切ないのかが知りたいんだ、そう俺はなんでかわからないが前の記憶が没落貴族とか言うものにすり替えられたとしか、今はそう思うことしかできない。

「おい、俺の質問の答えはまだ出て無いぞ。俺の記憶ってば今どうなってんだ。教えてくれよ師匠。」

 マイク越しでもわかるように冷えたようの声で睨みながら俺が今感じている恐怖感、不信感を全て今放った一言に乗せた。

「僕は正直君にこのことをだまって、君を騙していた。だけど、僕は後悔はしていないどれだけ君に罵られようがどれだけ君に蔑まれようともだ。正直に言おう、僕は君の記憶を消した戻らないって言うことをわかってそれを実行した。君を強くすると言う父との約束の妨げになると思ったからだ。そう思ってくれても構わない。」

やっぱ、この人かっこいいな正直、ごまかした時は許すか許さないかで迷っていたけど、この人は自分の信念を貫いた俺にどう思われてもいいと、どんなに恨まれても自分の行動に嫌悪したり後悔したりは全くしていない。俺はそれさえわかってれば充分だったんだよ。

「どうとも思わねーよ、あんたがそう言うんだったらもう咎めないよ聴いたところで俺の記憶が元どおりになるわけじゃ無いしな。」

 俺はほとんどの記憶がない今まで全く気にならなかったんだ、どんな事を学んでどんなやつと過ごしてきたかもわからないだけど俺は今、他のやつにどう言われようとも絶対に今までの今からもあるこの生活がただただ苦しい物だったとは思いたくは無い。

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