チョリーン⭐︎クッキング!~骨粉で美味しくしよう~

きいろいの@入院などでお休み中

モンスターの骨粉の有効活用!

 異世界でも魔力を電磁波のように流す事で映像を放送する事が出来る。人々はそれをマジビジョンと言われている。


 大都市ウェスト・ウェズにてお昼時に流れる大人気コーナーが始まる。多くの主婦たちが見始める


『皆さんお馴染み、チョリーン⭐︎クッキング!』


 明るいテンポのBGMと共に1人の髭がクルッとした中年シェフと若いアシスタントの女性が映っている。


「こんにちは〜!アシスタントのキーコと!」

「何でもチョリーン⭐︎料理人のチョリーンであるぞよ!」


 カメラ目線で明るく元気に挨拶をする。


「チョリーン先生、実は悩みがあってですね…」

「どしたのぞよ?」

「最近いろんな食材があってこの安いの食べてみようとチャレンジ精神で買ってみたものの臭みが強すぎたり味が薄すぎたりと買う場所によっては当たり外れがあって困ってるんですよー」

「よくある話ぞよ〜血抜き作業を怠ったり入荷場所が遠かったりと売れればと思ってる業者もおるぞよ」

「いったいどうすればいいんでしょうかー!」


 キーコはわざとらしい演技で泣いている。


「そんな時に使える食材があるぞよ!」


 スタジオを暗くしてスポットライトがチョリーン先生に向けられる。


「チョリーン⭐︎何と!モンスターの骨粉ぞよ!」

「ま、魔獣の骨粉ですって!?」


 キーコはわざとらしい演技で驚く。素人過ぎる。


「冒険者やギルドの方々がよく狩っているモンスターの骨を砕いたものぞよ。よく余る素材第一位は骨なのでこれを調味料として使えばいいぞよ〜」


 チョリーンはまな板の上に生肉を置き始める。そしてアイスピックを取り出す。


「まずはこの肉に穴をあけるぞよ。骨粉の旨みが中まで染み付きやすいようにするぞよ!ちなみに薄い肉の場合は包丁で表面を切るだけでいいぞよ〜」


 穴を開けた後、骨粉が入った小皿を取り出す。


「お肉に相性のいい骨粉はブルドール、イビルドー、ブファンガーぞよ」

「町や畑でなどで被害を起こす迷惑なモンスターたちですね」

「お肉に骨粉をかけてよく揉む。裏側も同じようにするぞよ〜!それが出来たら次は焼くぞよ!」


 骨粉付きのお肉がフライパンの上でジュージューと焼かれ始める。キーコは「あ、いいにおーい!」と言いながら涎を垂らしている。


「菜箸などで肉を刺して中まで焼けたか確認をして…焼き上がったら完成ぞよ!」


 ほっかほかとわかるような湯気が肉から出てきており見た目だけでも美味しそうだ。


「試食の前に、キーコくん。まずは骨粉無しの肉ぞよ」


 とチョリーン先生は同じ肉をテーブルに置く。後から温めたこと以外は違いが無さそうだが…。キーコは言われるままに食べてみる事に。


「いただきます!…うん……ん……っ……」

「お味は?」

「臭みが強くて…歯ごたえがいいのに勿体無い…」

「では、今度はさっき作ったお肉ぞよ〜」


 焼きたてのお肉をテーブルに置く。キーコは再び「いただきます」と食す。


「はむ…うん!?うんうんうん!んー!!」


 キーコは茶番の演技を見て素人レベルだという事はわかる。だが、これは演技ではなく本当に美味しく食べているのだ。画面を見ている人たちは全員美味しそうに食べていると伝わってくる。

 キーコはあまりの美味しさにナイフをいつの間に出して食べ続けている。そこに番組スタッフが止めに入る。


「この他にも味が薄いと思ったらこのブラッドウルフの骨粉でスパイシーな味が楽しめるぞよ〜」


 色が薄い茹でたお肉に骨粉をさらさらかける。それをチョリーン先生が食す。


「うーん、茹でただけでも満足〜ダイエットにもいいぞよ〜」

「私も食べたーい!!」


 キーコはスタッフに抑えられてもまだ暴れていた。


「ちなみに今回の骨粉の素材は冒険者のシェインくんとキャリナさんがギルドへ提供してくれたものぞよ〜美味しさを届けてくれてありがとうぞよ〜」


 チリリリリリーン♪


 ベルの音が響きだす。


「おっと、もうこんな時間。ではチョリーン⭐︎クッキング!また次回まで良い食事をぞよ〜!」

「はむはむ、あ!良い食事を〜!」


 キーコが茹でたお肉を食べる姿を映して番組は終了した。





※テロップ※

ギルドから流通予定の正規品以外の偽物が出回る可能性があります。

今回紹介したモンスター以外の骨を使う場合は大変危険ですので使用しないでください。その他の骨の成分は現在調査中です。



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