定山渓「407号室」
定山渓に位置する「夢の湯ホテル」は、多くの観光客が癒しを求めて訪れる場所です。しかし、その一室には不思議な現象が起こることがしばしばありました。
この怪談は、数年前の秋、ホテルの407号室で宿泊した若いカップル、健太と美香の話です。二人の目的は、定山渓の紅葉を見ることと、温泉でゆっくり過ごすことでした。
初日は何事もなく過ぎましたが、夜中に美香が目を覚ました時、彼女は部屋の隅に立つ白い影を見つけました。それは、まるで人間の形をした霧のようなもので、じっと彼女を見つめていました。美香は恐怖で声が出ず、健太を起こすこともできませんでした。影はゆっくりと部屋の奥へ消えていきました。
翌朝、美香は健太にそのことを話しましたが、彼は笑って「夢でも見たんだろ」と言いました。しかし、その夜も同じことが起こり、今度は健太も目撃しました。二人はその影が以前にこの部屋で亡くなった客の霊だと噂を聞いたことがあり、怖くなってホテルのフロントに相談しました。
フロントのスタッフは、407号室にそのような噂があることを認め、過去にこの部屋で自殺をした女性の話をしてくれました。その女性は、恋人との別れに絶望し、この部屋で命を絶ったと言われています。スタッフは部屋を変えることを提案し、二人は快くそれを受け入れました。
新しい部屋では、二人は静かな夜を過ごすことができましたが、407号室のことは忘れられませんでした。帰る間際に、美香はホテルの記録を見つけ、彼女が見た影がその女性の死亡日と一致していることを知りました。
「夢の湯ホテル」では今でも、407号室は人気がなく、宿泊者にその部屋の歴史を説明し、希望しない限りそこに宿泊させない方針を取っています。定山渓の美しい風景とは対照的に、この怪談は今もこのホテルの影に隠れています。
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