増毛「憎毛の宿」

北海道の増毛町、深い山の中にひっそりと佇む古い宿。そこには、薄毛に悩む者たちを待ち受ける、恐ろしい運命が隠されていました。


ある冬の夜、髪の悩みで心が折れかけていた男性、雄太がその宿に足を踏み入れました。宿の主人は、怪しげな笑みを浮かべ、「ここに一夜を過ごせば、あなたの髪も増えるでしょう」と語りました。雄太は希望に胸を膨らませ、部屋に通されました。


夜が更け、深い眠りに落ちた雄太の夢の中で、何かが彼の頭皮に触れる感覚がありました。目を覚ますと、彼の部屋には数え切れないほどの、禿げた幽霊たちが集まっていました。彼らは皆、頭皮から血を流し、切実な眼差しで雄太を見つめています。


「助けて...」という声が部屋中に響き渡り、幽霊たちは一斉に雄太に近づいてきました。彼らは雄太の頭皮に触れ、彼の髪を引き裂くかのように引っ張り始めました。痛みと共に、雄太の髪は一本一本、抜け落ちていくのを感じました。


驚愕と恐怖のあまり、雄太は声も出せず、ただ震えるだけです。その時、幽霊たちの一人が言いました。「この宿は、私たちの髪を奪った地...代償として、あなたの髪も貢ぐのです。」


突然、部屋の中央に大きな鏡が現れ、雄太はそこに映る自分自身を見ました。彼の頭は完全に禿げ上がり、血が流れていました。その瞬間、幽霊たちは笑い声を上げ、雄太を取り囲み、さらに彼を引き裂こうとしました。


翌朝、宿の主人が部屋を訪れますが、そこには雄太の姿はなく、ただ血まみれの枕と、抜け落ちた髪の毛が散らばっていました。宿の主人は笑い、「また一人、髪を増やしたね」と呟きながら、部屋を片付け始めました。


その後、雄太の姿は二度と見つからず、宿の周辺では、夜な夜な泣き声や笑い声が聞こえると言われています。増毛町のこの宿は、今もなお薄毛に悩む者を待ち受け、彼らに恐るべき代償を求め続けているのです。


薄毛に悩む者にとって、増毛町は希望と絶望が交錯する場所。ここに訪れることは、運命を変えるかもしれませんが、その代償は計り知れない恐怖と共に訪れるのかもしれません。

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