豚人間の咆哮

クライングフリーマン

あり得ない地震

 === この物語はあくまでもフィクションです =========

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「嘘だろ?」広瀬泰也は呟いた。

 今朝、未明。

 佐賀県、富山県、岡山県、滋賀県、大阪府、そして、東京都。各地で震度強以上の地震が発生した。

 東京は、震度7強だった。

 東京の被害は、千代田区、港区、中央区、渋谷区、世田谷区。いずれも『安全』と言われた地域だった。

『安全神話』。そんな言葉が泰也の脳裏を掠める。

 テレビは壊滅状態だった。JHKは渋谷区、テレビ欲目は港区、TBZは同じく港区、蛆テレビは同じく港区、二品テレビは千代田区、テレビTOKIOも港区だ。

 何で、こんなに偏った場所にあるんだろう?

 ラジオ局も地域が集中している。FMイントレは品川区、おこめFMは荒川区、他は千代田区、港区、中央区、渋谷区だ。

 泰也はインターネットで各地の情報をかき集めた。

 誘発地震、いや、連鎖地震とは思えない。

 かつて、宮崎県で、年をまたいで地震があった時、連鎖地震として「難解トラフグ地震」が起ると言われ、中部地方から九州地方の太平洋側に地震が連鎖すると言われていた。

 だが、今回は誰も理解出来ない連鎖地震だ。離れれば震度が低い筈なのに。阪神淡路大震災、東日本大震災、北海道地震、能登半島地震、そして、宮崎県地震。

 互いに離れた場所で同時に起り、間の県は殆ど被害がない。あり得ない。

 コメ国やヨーロッパの各国、イギリスやフランスなどは、もう支援を申し出ている。

 那珂国や阿寒国や北の家族国、オトロシアはだんまりだ。

 ひょっとしたら、人工地震?あり得ない。

 墨田区の東京スカイツリーは無事だったが、港区の東京タワーは怪獣にへし折られた感じだ。

 新宿区の東京都庁は無事、千代田区の東京駅は、新幹線を含めた列車が全て横転。

 羽田空港、成田空港はどちらも千葉県だから無事。東京港は何故か津波も来ず、コメ国は空からと海から支援に向かっている。

 そして、国会議事堂と議員会館、省庁。

 もう説明の必要はない。お札は、本局が港区だが、他にも印刷局があるから壊滅とは言えない。

 いきなり、国会・内閣が消えた。総理官邸は千代田区だ。警視庁も千代田区だ。

 総理私邸は渋谷区で、官邸同様ペチャンコだ。自衛隊が救出に向かっている。

 当然のことだが、国のトップは、大家知事になった。

 電波塔は、既に東京タワーから東京スカイツリーに変わっている。

 知事は、各地方局にキー局代理を依頼した。また、New tubeのチャンネルでテレビの代行が出来るNewTuberを募った。

 知事は、急遽警視庁の役割を新宿署に持たせ、他の署から応援を呼んだ。

 SITやSATも、休暇中の警察官や元警察官も駆り出された。

 SITやSATは、警視庁の管轄だが、やむを得ない。

 警備会社の人員も応援に来た。各地、余震は1時間以内に収まっていたが。予断を許さない。

 今や、中心になっている情報源はSNSになった。

「オワコン」と呼ばれながら、チューチュー甘い汁を吸っていた罰が当たったのだ、と泰也は思った。

 泰也の家は、千葉県の西の端の方にある。泰也はバイクを走らせながら、スマホで情報を得ていた。幸い京葉道路は空いていた。「今、東京に向かうのは危ない」、と皆判断したのだろう。

 都内の区外や他県の情報があまりないのだろう。反対側車線も空いていた。

 両国橋を渡って馬喰町付近で、「被災地」が広がっていた。

 突如、前方に地割れが大きく広がり始めた。

 必死に来た方向に戻った泰也は、カメラをズームして、「地震の正体」が「生えてくる」のを見た。生えてきた、それは、一歩踏み出した。

 それは、豚だった。いや、顔だけが豚で、首から下が「白い全身タイツ」のような体をした、人間っぽい生物だった。

 どこかで、鳴き声がした。「ブヒー!!」

 その豚人間も呼応した。「ブヒー!!」

 日本各地の「被災地」で鳴き声が聞こえた。

 何時間も何時間も。

 人々は絶望した。一気に征服されたのだ。豚人間と言うしかない、宇宙人に。

 ―完―









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