第3話 思惑に乗せた者
-東京都足立区冒険者組合
「サボらないでください組合長。死ぬほど仕事が溜まってるんですから」
「って言われてもなぁ。これをこなしちまうと今度からこのくらいできる前提で仕事させられるぞ。今は特別だが何かあった度この仕事量を押し付けられたらたまったもんじゃねぇぞ」
「いいから進めてください。冒険者試験までに全部終わらせなければいけないんですから。今うだうだ言っても何も変わりません」
「まず俺はその冒険者免許制度があまりいいもんだと思わんからやる気でねぇんだよ。あんなの上から言われなければぜってーやらんのに」
「何言ってるんですか。
「あのなぁ、
「だからさっき言ったじゃないですか。
「ほんとにそれだけだと思ってるのか?」
「それ以外に何があるんですか。ダンジョンなんでモンスターがいて倒すと石を落とす以外危ないだけの場所じゃないですか。あんなとこ潜らせてどうするんですか」
「だから上の奴らはお前を副組合長にしたがってたのか」
「そりゃ私の方が組合長よりは真面目に働きますしね」
「そうじゃねぇよ。まぁくれぐれも上の食い物にならんようにな」
「なるわけないじゃないですか。それよりもさっきの質問の意図は何だったんですか??」
「いやね。俺が思うに今回、冒険者免許制度を作った理由はそこがメインじゃねぇと思うんだよな」
「
「そりゃ、被害者はいっぱいいるさ。でもな今回の冒険者免許制度はそれ以上にエネルギー確保と口減らしの意味合いが大きいと思うぞ。
「エネルギー・・・ですか?」
「そうだ。この一か月近いダンジョン研究の結果、お前がさっき言っていたモンスターが落とす石が燃料として極めて優れていることがわかった。燃焼時のエネルギー効率が極めて高く、また体積当たりのエネルギー量も多いから燃料として非常に優秀だった。どのくらいかっていうと同じ体積の石油の約50倍のエネルギーを取り出せる。その上で現状有害物質は二酸化炭素含め確認されていない。エネルギーとしては原子力と同じくらいの効率でよりクリーンで安全だ」
「あの石そんな優秀だったんですか!?頑張れば装飾品にはなるかなぁぐらいだと思ってたのに」
「じゃあもう一つ。日本が外国と封鎖されて特に頭を悩ましている問題はなんだ」
「エネルギー問題と食糧問題ですね。大災害が起こった際も人の手が足りなくなるかもしれませんが何とかしようと思えば何とかなりますし、まず来る頻度の問題で深刻化するかわかりません」
「そうだな基本はエネルギー問題と食糧問題だ。今回の冒険者免許制度はついでに災害の事も含め全部ある程度解決できるものだ」
「?じゃあいいものじゃないですか」
「馬鹿か。さっき言っただろ口減らしだって。食糧問題の解決方法は食料が足りないから食べる人を減らしましょうだ。ダンジョンはもちろん危険な場所だ。必ず犠牲者が出る。訓練した自衛隊でもそうなんだ。いくら多少鍛えたところで、知識を植え付けたところで素人が行けば多くの犠牲者が出る。そうすりゃ食料を必要とする人間も減るってわけさ」
「そんな・・・国が国民を殺す為の制度を作るわけないじゃないですか」
「なんでだよ。国力が落ちても争う相手も現状こちらに手出しできない状況だぞ。要らないモノを処理しても何も疑問じゃない」
「・・・」
「ついでに言うなら、初回の難易度を下げることでこれまで働いていなかった層や勢いで突っ走る馬鹿共の死亡率を上げようって魂胆も垣間見えるな。ある程度頭が回れば国で一緒に募集してた組合員の方に応募するはずだ。リスク少ないし。ただテレビや広告では冒険者の方が目立つようにしたから勢いで飛びつく奴や調べないやつ、あと感情で動く奴らだな。そこらへんが飛びつきやすいようにしてる。そういうやつらはやっぱりあそこでの死亡率は高くなるだろうよ」
「・・・
「なんだ」
「冒険者免許制度を快く思わない理由は分かりましたし、私もあまり気乗りしなくなりました」
「そうだろう」
「だけどサボっていい理由にはなりません」
「は?」
「手を動かしてください。どれだけ嫌ってももう動き始めていますし、公表もされています。さらに言うと国民も別に批判の声をほぼ出していませんし、封鎖で失業した人たちが働き口を多く求めているのも事実です。冒険者と同時に募集した組合員の応募にも多く来ています。というか採用も当然どんどん進めないと仕事がパンクします。冒険者試験の応募者も基準を緩くしたとはいえ選別しなければなりません。同時にすでに全市区町村のダンジョン近くの土地を抑えてありますが改築などが終わっていません。試験もありますし、その後の冒険者の業務もあります。ですのでそちらも早急に終わらせなければなりません。政府からお金は急がせる分の割り増し分もふくめ十分なほど受け取っています。今更気に入らないとか、気分悪いとかで引き返せる段階ではありません。数日はまともな休憩は取れないと思ってください」
「いやいやいや隅田ちゃん。ちょっとそれは厳しいんとちゃいます?」
「いいから手を動かしてください。全力でやって間に合わないならまだしもサボって間に合いませんでしたでは国民に殺されますよ」
「でもさ「うるせぇからさっさとやれや」・・・はい」
「そこの右の奴から全力で急ぎの奴、急ぎの奴、今日中の奴です」
「えっこれを・・・無理じゃない?全力の奴が俺の身長(※約190㎝)くらいあるんですけど・・・」
「いいからやってください」
「・・・・・・・・・・分かりました」
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こんな想定ではなかったのに・・・orz
絶賛想定外を楽しんでおりますw
もっとナレーションの説明入れつつ政府側の事情を書くつもりだったんですがいつのまにか愉快なキャラが喋ってるだけになりました
実際、隅田も軍塊もこの話を書き始めた時には性格どころか名前も決まってませんでした
つーかまだ下の名前はどっちもありません
ただ二人とも好きなキャラに仕上がってしまったために今後も出すことになる気がします・・・
はぁ
どうやって主人公と絡めようかなぁ・・・
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