第2話 思惑に乗った者②
それから4日ほどして学校から登校の指示があった。
この4日で名古屋市緑区周辺のモンスターは掃討されたらしい。
政府はダンジョンやモンスターの研究を怠ってはいなかったからこの短期間での終息を見せたのですごいとも思うが、もっと国民にも知らせろよという感情の方が強かった。
ただここ周辺が終息したからと言ってほかの地域が落ち着いてるとは限らない。
ニュースによれば日本各地で同じようなことが起こってるらしい。
この緑区ではあまり被害の話は聞かないがが他に目を向けるとひとが襲われたところも多いそうだ。
なんでもこの4日で7000人近い死者が出ているというじゃないか。
たまたま緑区が早いタイミングでモンスターを発見したから早い対処になったが他の地域の討伐の人数は足りているのだろうか?
次の日、学校の指示通り登校をした。
やはりというべきか、町の活気はあまりなかった。
教室についても少し静かなのは変わりなく、普段より人数も少なく見えた。
なによりいつも自分より早く教室に来ている紫苑の姿はなかった。
初めてなかった挨拶を新鮮に感じながら時間を待った。
やがて鐘が鳴り、先生が教室にやってきた。
まだ隣は空席のままだった。
ほかにも空席はいくつかあったがそれ以上に隣に違和感を感じていた。
「みんな久しぶりだ。まずここに来ている人たちが無事でよかった。全国で見れば多くの犠牲が出ているし、少なからず緑区でも犠牲者はいる。正確な人数や人物の特定はできていないが必ず悲しんでいる者もいるということを念頭に生活してほしい。またいま来ていない人たちは安否が確認できていない人たちがほとんどだからある程度は覚悟しておくといいだろう。今日の登校には安否確認の意味が大きい。未だ建て直せていないことも多い。よって午前に軽く個人の状況を確認させてもらうために簡単な個人面談を全員分行う。個人面談が終わった者は教室でも他クラスでもいいが話をしていてもいいし、帰ってもらっても構わない。各々個人の判断に任せる。ただ個人面談前には教室からは離れないように。何か質問はあるか?」
誰も質問をしないことを確認した先生は出席番号の若い順にクラスメイトを呼んでいった。
一鬼田で出席番号が3番の愁似はすぐ呼ばれることになった。
個人面談もこれまでと全くと言ってもいいほど変わりなかったのですんなり終わった。
愁似はそのまま誰に話しかけることもせずに帰った。
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学校が再開して一週間たった。
全国で暴れていたモンスターは大体制圧し終わったらしい。
最終的に二万五千人ほどのけが人、その内犠牲者は一万人近く出た。
モンスターと対峙した人の多くは亡くなっている。
政府はダンジョン関係で二回目の謝罪会見を行い、今回の災害を
この
この一週間、緑区では普通の生活に戻っていた。
今日も愁似は学校に通っていた。いつも通り教室に入り、席について先生を待つ。
ここ一週間ずっと変わらなかった流れだ。
鐘が鳴り先生が入ってくる。
「みんな、おはよう。全国の
愁似にはその後の記憶がなかった。
あまり感じていなかったが紫苑の存在は愁似の中で大きいものだった。
たしかに身近な者の死に対して慣れていないのもあるだろうが、家族以外で唯一と言っていい話し相手がいなくなった衝撃は想像以上だった。
そこからは感情が抜け落ちたかのような体で動いていた。
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そのまま約一週間が経った。
愁似は相変わらず生気を感じない状態だった。
そんな中テレビであるニュースが取り上げられる。
"先週の
それを聞いて愁似は思い立った。
これなら敵を討てるのではないかと。
紫苑の無念を晴らすことができるのではないかと。
久しぶりにやる気が出てきた愁似は学校をさぼり、そのまま冒険者試験の申込みをした。
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この作品を読んでくださっている皆様ありがとうございます。
自分はすごく遠回りな前置きをするのが大好きです。
読者的には最初読んでいたものとは急に変わるように感じるかもしれません。
まぁそう言うってことは当然ながらこの序章は第一章からとは大きく違うものになります。
それでもいいよって言ってくれる方は読み続けてもらえると嬉しいです。
更新頻度に関しては少なくとも毎日は出さないと思います。
今は勢いで書いていますがこれがいつまで続くものか・・・
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