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第1話

ぱちり。


不思議と目が醒めてしまい、ゆっくりと瞬きを繰り返す。ぼんやりと未だ思考が鈍っているらしく、瞼が重く感じる。

ちらりと部屋を見渡せば、テーブルには作業の途中であったレポート紙に、友達とお揃いで買った文具やらが散乱していた。それらにあぁ、そうか。と納得し、壁に掛かってる時計を見やると短い針は1時を指していた。以前買い物をして一目惚れした黒いネコの時計だ。

しんしんと雨が降っているようで、この静かな部屋からはよく聞こえる。

どうりで変な時間に起きた訳だ。


くぁ、と欠伸をこぼしベッドから起き上がる。その拍子に喉が乾いてるのを感じ、そろりと足を床につけるとひんやりとした冷たさを感じ目が醒めた気がした。


戸棚に伏せていたガラス製の水玉模様がプリントされたコップを取り出し、蛇口を捻り水を少し注ぎ喉に流し込めば潤っていくのを感じた。ひと息し、コップを持ちのそのそと後にする。


外の雨は勢いを増していた。

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