第19話



うーん…暑い…。


……

………

…!?!?

!?!?!?


なんで!?


右手は莉亜に繋がれ、左腕は玲衣ちゃんに絡まれて囚われている。

どう言う状況…?


けれど、20分経った頃には手足が痺れてくる。流石にこのままではいられない。

変な時間に起きてしまったせいで、とても眠い。

どうしよう。少しづつ、手を動かしていると、莉亜から手が離れた。

そのまま少しづつ、玲衣ちゃんの方からも腕を抜き、自由を手に入れる。


「うーん…。」


そう呟きながら、玲衣ちゃんの腕が少し中を彷徨い、落ちて、また静かになる。

少しだけ申し訳ない気持ちになるけれど、あのままでは私も寝られそうになかった。


そのまま部屋を彷徨い、玲衣ちゃんのbっとに辿り着く。


玲衣ちゃん、失礼します。そんなことを考えた、次の瞬間には私は深い眠りに落ちていた。




すんすんと匂いを嗅ぐ。

玲衣ちゃんの匂い…。


ぺちぺちぺちぺち。


優しく頬を叩かれる。


「?」


睡魔に後ろ髪をひかれつつ目を開けると、そこには玲衣ちゃんの顔があった。

びっくりして肩をすぼめると、ジト目になった玲衣ちゃんに、


「人の枕の匂い嗅がないでもらえる?」


と言われてしまう。


「あっ…。ごめん。」


本当に無意識だった。いつもと違う匂いがしたのと…多分クセ。


「いいけどさ。」


「ひよりちゃん、朝ごはんだよ。」


扉から、ひょっこりと顔を出した莉亜がそう微笑んでくる。

朝ごはん…?


「今、何時?」


「10時。」


「ぅえっ…。」


「変な声出てんじゃん。」


急いでベットから出て身なりを整える。

普段の私なら大遅刻だ。そしてそんな大遅刻をしたことなんてほとんどなかったはずなのに。


「そんな焦んなくてもいいよ。私たちも起きたのさっきだし。」


「ご、ごめん…。」


「いいって。朝ごはん食べよ。」


玲衣ちゃんの顔がさらにグッと近づく。


私の手作り。


そう呟いて、いたずらっぽく笑った彼女は足早に部屋を出ていく。

遅く起きてしまったショックを引きづりながら、服を着替えて、私は玲衣ちゃんの朝ごはんを食べに向かった。




朝ごはんはとても美味しく、それを褒めたら玲衣ちゃんはとても嬉しそうにしていた。

そこから、少しダラダラとしながらお話しして、昼前にはお開きになった。




別れの挨拶をした私は、家に戻る。

楽しい思い出がたくさんできて、それを振り返っていると、帰り道はあっという間だった。


私がいない間に代わりをしてくれていたであろう、他のメイドにお礼を言わなければ。


「ひより、ただいま戻りました。」


そう玄関で挨拶をした後、メイド長に帰宅を報告して、荷物の整理と着替えのために自室に戻る。


その途中で。


「あら、戻ったの?」


お部屋から出てこられた、お嬢様と向かい合う。


「はい。長らく家を空けてしまい、申し訳ありません。」


「別に。」


お嬢様がこちらに近づいてくる。

そこで彼女を見上げ、気づく。ちょっと顔色が悪い?


私との距離がほとんどなくなって、お嬢様が顔をしかめる。


そしてそのまま私の肩の上あたりに顔よせて、すんすんと匂いを確かめる気配がする。


…?


お嬢様が体を引いて、彼女の顔が目に入いる。

その瞬間、背筋に汗が滲んだのを感じた。

明らかに不機嫌だ。


「お風呂に入ってきなさい。ひどい匂いがする。

その後、わたしの部屋に来て。」


「かしこまりました…。」





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吸血メイドと奴隷姫 @Him-eType

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