人生薔薇色組またまた誕生!

いまい あり

多美の趣味ってなんなんだよ!

冬の放課後は暗くなるのが早い。


帰宅部の俺は部活もないから早く帰れるんだけど


冬空の暗さは何となくどんよりした気分になる。


早く帰ろうと急ぎ足で自宅へと向かっていた。


「ねぇ薔薇って漢字書ける?」


いきなり隣に来てクラスメイトの多美たみが話しかけてきた。


「いきなりなんだよ?」


「だからさぁ薔薇って漢字で書ける?」


「書けない!読むのは読めるけどね。」


「ふーん。漢字に強いと思ってたけどそうでもないのか。」


「なんだよ、いきなり失礼だな!もしかして来週の小テストに出るのか?」


「出ないよ。」


「じゃいきなり何なんだよ。」


「薔薇ってどんなイメージ?」


「薔薇のイメージってか?お祝いとかプロポーズとかかな。」


「ふーん。彼女に薔薇をあげるなら何色にする?」


「いきなりなんだぁ?プレゼントなら深紅の薔薇かな。」」


「深紅かぁ普通だなぁ。個性的な発想はないんだ。」


またも失礼発言してきた。なんなんだこいつ?!



「それでっと、好きな子いる?」


また突拍子もないこと言い出したぞ。

好きな子…。確かにいる。いるけど多美じゃない!

お前の親友の未来みらいが好きなんだよ!

って未来のこと思い出したら顔が赤くなってきた。


「あら~顔が赤いわよ!好きな子がいるのね。誰かな、私?」

まさかそれはない!これは新手の告白か?


「一体誰なのよ?ほらほら吐いちゃいなよ。」

「なんでお前に言わなきゃならないんだよ!」

「言わなきゃ後悔するけど、いい?」

「いいよ。」

「あぁ告白してひどい言葉で振られるの怖いんだ!」

「違う!未来はそんな子じゃない!」

「おおっ!ついに告ったね。未来が好きなんだ。」


多美の口から未来の名前を聞いたら、さらに顔が赤くなって

体温も上がって汗まで出てきた!


隣で多美が面白そうに俺をうかがってる。


「そっかー未来が好きで間違いないよね?」


ここまでバレちゃしかたない。未来がここにいるわけじゃないし

ヤケになって叫んだ。


「そうだよ、俺は未来が好きなんだ!」


「ありがとう。」


多美の後ろから、未来が姿を現した。


「み、、、み、ら、い?聞いてた?」


「うん、ありがとう。」


多美は俺達2人の顔を交互に見てにっこり笑って走り去った。


「人生薔薇色組またまた誕生!」


多美は両想いなのに告白できない人達の思いをつなぐことを

趣味にしていることを後日知った。

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