第32話「汽笛の合図」
ただ生きて
ただ泣くだけなら
誰にだって出来た
この悲しみにあったのは
そうした痛みだけ
孤独を愛せば
しずる寝息に愛を感じる
このどこもかしこも愛だらけだと
壊れた
愛に
ただ愛を割っていくだけの愛に
誰があなたを思うでしょう
もっとずっと遠くに
もっときっと近くに
助はあったのではないですか
こうして奥手に手を回して
こんな痛みでいいかなんて
ちょっと悪いなんて
思っても
いつだって恐怖は
自分だけにある
だからそっと口づけの後に
嘘を言うから
だからそれだけは信じて
そのわずかな温もりから
ただの命を教えて
それだけでどれほど
生きてるか
どれほど生きられるか
ただ涙をなくして
ただ生きるなら
もう誰も失わせないで
それだけ
ただ最後くらいは笑ってよ
それくらいできたでしょ
それくらい
それくらい
それくらい
愛があってもよかったでしょ
ね、あなた。
いつだって口惜しい最後でした
綺麗な別れじゃなくて
ごめんなさい
あなた。
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