第17話「重複の失狂」

空に映る言葉を書いて

それだけを恋にして

絵空事の声を信じていた


まるで誰もが

要らないと

何かもを捨てた後に

泣けたんだ


だからこの空白を書いて

書いて


愛を探している

また再会を思って

またこんな空白を埋めている


ね、いつか記した愛は

ちゃんと言葉になりましたか

ちゃんと伝わっていますか


誰かが描く未来に

心を見失って

最愛の声を押し込んではいませんか


誰かが愛した今日に

誰かが繕う今日に


なぜ涙を禁じ得ないような

悲しみで泣いているのですか


これだけ、愛を記しても

出会えないほど


世界はとっくに

闇の中

もう消えたくないよ

だから愛して

愛してよ


もっと遠く

もっと愛を轍に


茨を歩くよ


あー、消えた昨日までが

私を未来に運ぶなら

それでいいのなら


きっともう息さえつかずに

捨てていいかな


こんな自分を消して

望みを消していいかな


ね、もう、誰も要らないから

せめて望まないから


ただ最期だけは

そばに居てほしいな

こんな一日がすべてになるから


それで満足した人生になるから

きっと最後は見送られたいな


だからさよなら、


愛してます。


すべてすべてを。愛してます。


ありがとう。ここに居てくれて。


なんて、、、、ね。

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