僕も行くよ!
僕は久しぶりに家の食卓に並んだ。プリンはまだ来てないけど。気晴らしに散歩に行ったらしい。散歩に行って無事かな?ってうっすら思ってた。その嫌な思いが現実になった。「プリンがクルマにはねられた」とお父さんが言うのだ。僕は絶句している。プリンが事故に遭った?それは冗談かも。僕今日誕生日だしー。それはありえない。だって昨日が僕の誕生日。勘違いしてた。で、今日が僕の弟プリンの誕生日だ。誕生日なのに、車にはねられて、ひき逃げされて、可哀想に…それを考えている場合じゃない。今はプリンの事。パパは気を取り直して食事を始めた。僕がはどっちかって言うとパパとママの子供って感じ。プリンは養子。でもママは割りばしをバチンッ!という音が立つくらいに強く机に置いた。「私は病院……行ってきますから」と強く言い、せっせと荷物を準備した。僕も行かなきゃ!プリンが心配だ。「僕も行くよ!」と僕も言い、パパに後で来いよと目配せをした。パパは行くよと目配せを返した。僕とママは車に乗り、ぬいぐるみ病院に向かった。ぬいぐるみ病院は、ケガをしたぬいぐるみや、インフルエンザかもしれないぬいぐるみ、いろんなぬいぐるみが来ている。ぬいぐるみ病院は休みがないというブラック企業だ。「プリン君のお母様と、お兄様いらっしゃいますか?」と看護師の緑色のくまが大声で呼んだ。はーいと返事をしながら、僕たちは立った。「看護師にここです」と案内された。扉はガチャリと開くかと思ったが、キィーという予想しなかった音がした。扉の外にいたのがプリン。プリンの頭に包帯がぐるぐる巻きになっている。ど、どうしたのプリン?!僕、プリンがこんな事になっていたなんて知らなかった。血もちょっと滲んでいる。僕がその状態だったら、ちょっとふらついているはず。プリンがか細い声で、「お兄…ちゃん…来て…くれたの…?」と言った。僕はもちろん「来るに決まっているよ!僕心配したんだからね!」と言った。ケガも一切しないプリンが事故なんて珍しい。ところで、ひき逃げ犯は見つかったかな?と思った。ピロンッとママのスマホから音がした。ママは見た。「ひき逃げ犯捕まったって!良かったぁ〜」とママは安心したような声で言った。良かった。ひき逃げ犯捕まったんだ。プリンの方を見たら、プリンが泣いていた。「何で…?僕お兄ちゃん見て逃げたんだよ…?きづつがなかったの…?嫌ったんじゃないの?」とプリンが言った。やっと言えるようになったばっかりみたい。「プリン。お兄ちゃんはきづついてないし、嫌ってないよ」と僕は笑顔を見せた。
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