第21話 考え直すはずだよね?
――それから、月日は経て。
「……さて、どうするべきか」
「ん? 何か言ったかい、
「あ、ううん何でもないの!」
霞んだ月の浮かぶ、ある日の夜のこと。
二条院の一室にて、ぼんやり呟きを洩らす私に穏やかな微笑で尋ねるのは、もはやお馴染みと言えよう見目麗しき青年――
さて、そんな私の懸念とは
さて、もはや説明不要かもしれないけど――当時の貴族社会は一夫多妻であり、基本的には愛人をもつことも許されている。
――だが、
そして、前述の通り朧月夜は右大臣の娘――更には、未来の国の
そして、流石は生粋のプレイボーイと言うか――果たして、本作にてそんなやんごとなき朧月夜さんと懇ろになってしまう源ちゃん。そして、その結果――
なので、今夜の逢瀬――恐らくは彼女とであろう、今夜の逢瀬を止めるべく手を打つ所存なのだけど……とは言え、実際には然したる不安もない。と言うのも――
「……ねえ、
「…………へっ?」
「……あの、どうしたんだい紫の君。いや、そう言ってくれるのは嬉しい、本当に嬉しいのだけど……だけど、ここ最近はそんなふうに甘えることはなかったから、少し驚いてしまってね」
徐に部屋を去ろうとする彼の裾をそっと掴みつつ、上目遣いで引き留める私。すると、言葉通り頗る嬉しそうにしつつも困惑を浮かべる源ちゃん。まあ、この頃にはもうわりと落ち着いてたからね、
ともあれ……うん、別にたいそうな策とか必要ないよね? だって、何と言っても私はあの
「……いや、しかし……だが……」
すると、尚も逡巡した様子の源ちゃん。一定の効果は見られたものの、もう一押しくらいは必要か。そういうわけで――ぎゅっと裾を掴む手に力を入れ、花も恥じらう可憐な笑顔で言った。
「――私とその女、どっちが大事なの?」
「どこで覚えたのそんな台詞!?」
何とも可愛らしく問うた私に、たいそう衝撃の
まあ、それはともあれ……うん、いくら源ちゃんでも流石にこう言われてしまえば――
「――聞いておくれ、紫の君。私は、貴女のことを誰よりも愛している。
うんうん、なんかよく分かんないけどすっごい愛してくれてるんだねっ。
「――そして、だからこそ私は行かねばならない。何故なら……私が訪れないことで他の
そうそう、だからこそ行かねばなら……ん?
「――こうして貴女をおいていくことは、私も甚だ心苦しい……だけど、これも全ては貴女を一番に想ってこそのこと……では!」
「いやちょっと待てぃ!!」
いやちょっと待てぃ!!
……まあ、それはともあれ……うん、まあそんなに焦んなくても大丈夫かな。確か、あれはまだまだ
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