第20話 女神様ご降臨?
「――うぃ〜っす、げんき〜むらさき〜」
「……いや、だから
やっぱり似てるなぁ――なんて思いつつ、ぼんやり水面を眺めていた翌朝のこと。
何やらふらふらやって来る酔っ払いへ呆れつつ注意しようとするも、不意に言葉が留ま……いや飲んでねぇんかい!! じゃあ
――まあ、それはともあれ。
「――ところで、いつの間にか戻ってるように見えるけど……もしかして、新しいの届いた?」
「おお、そうなのじゃ! いや〜思ったより早く届いてのう。今回は予備を含め128
「いや備えすぎでしょ」
いや流石に備えすぎでしょ。たいそう嬉しそうなとこ申し訳ないけど、流石に警戒しすぎでしょ。餌食になる以前に、消費期限が切れるんじゃ……いや、そもそも食物なのかどうかも知らないけど。
ただ、それはともあれ……うん、なんかほっとする。
「――そう言えば聞きそびれてたけど、今日は何しに来たの? これでも忙しいんだけど、私」
「いや、そんなつれないこと言わないで? ほのみんとわしの仲じゃろう」
「……いや、そんな仲良かったっけ?」
ともあれ、もはや恒例となりつつある馬鹿なやり取りを交わす私達。まあ、そんなに忙しくもない……と言うか、今のところわりと暇なんだけどね。
「さて、今日は何をしようかの…………へっ?」
「……ん?」
すると、ほのぼの話す神様の言葉が不意に止まる。見ると、何やら随分と唖然とした表情で……えっと、いったいどうし――
「――ご機嫌よう、
「…………へっ?」
そんな思考の
「――いや奥さんいたんかい!!」
「……おや、そのご反応……ひょっとして、主人からお聞きになっていなくて?」
「……えっと、まあ……はい」
そう、優雅に微笑み尋ねる女性。たどたどしく答えつつ神様の方へ視線を向けると、何やら背を向け徐に去ってい……おい。
ところで……うん、改めてだけどすっごい綺麗。その羽衣らしき清麗な衣装を見るに、きっと天女様なのだろう。きっと、内面も女神の如く清らかで――
「――ところで、あなた様。以前、仰ってくださいましたよね? 私だけを心より愛し、そしてこれからも私だけを
……うん、前言撤回。そういえば、神話にもわりといたよね……怖い女神。
「……も、もちろんじゃよ天女。わしは、お前だけを一途に――そして、
「遊んでいた……ふむ、それでは遊女ということでしょうか。ですが、他の女とそのような関係を持つなど私は許した覚えが――」
「いや違うよ!?」
わたわたと狼狽えつつ弁解をする神様と、何とも不穏な笑顔で話す天女様――そんな二人(二神?)のやり取りを、一人ぼんやりと眺める私。……いや、神様の説明もどうかと思うけど……うん、なんか言い方に遠慮がなくなってきたね、天女様。
「――ねえ、ほのみんからも何か言って! ほんと、お願いだから!」
「……へっ?」
すると、不意にこちらへ懇願の意を示す神様。その言葉通り、
まあ、それはそうと……うん、助けてやらんこともないか。なんだかんだ、助けてもらってる気もしないではないし……さっきの台詞じゃないけど、私達の仲だし。なので――
「――こんの浮気者ぉ!!」
「ええっ!?」
きっと思いも寄らなかったのだろう、大きく目を見開き声を発する神様。……いや、私もびっくりだよ。よもや、こんな言葉が出るとは。
……まあ、でもあれかな? ほら、なんか私だけの神様みたいなとこあったし。
「――おや、彼女もこのように仰っているようですし、もはやこれ以上の言い逃れは――」
「いや違う違う違うのよ!! わしは決して浮気など――いやなんでややこしくしちゃうの!?」
尚も不穏な
「――さて、そのような放蕩者には些かお仕置きが必要のようですね。それでは……
「……あ、えっと、その……はい」
「それでは、ご機嫌よう沢山さん」
「あっ、えっと……はい、ご機嫌よう」
すると、ほどなくそう告げ天上へと去っていく天女様と神様。一応、最後まで笑顔を向けてくれてはいたけれど……うん、完全に目が笑ってなかったよね。
……ただ、それはともあれ……うん、どうかご無事であらんことを。
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