第8話 やっぱりそっくり?
「……いや、まさかこんなことになるとは」
その日の宵の頃。
……ただ、それにしても――
「……正直、簡単じゃない?」
そう、ポツリと呟く。何のお話かと言うと、今回の条件――神様から提示された、藤壺として生き抜くための条件のことで。
『――さて、今回のルールに関してじゃが……
『……えっと、それ、だけ……?』
本日、昼下がりの庭園にて。
そんな神様の説明に、思わず呟きを洩らす私。……あれ、それだけ? ここでいう関係と言うのは……まあ、そういう
――翌日、宵の頃。
「……うん、やっぱり違う」
清涼殿へと向かう廊下を歩きながら、ポツリそんな呟きを零す。違うとは、
……でも、この分だと問題ないか。と言うのも――以前とは違い、藤壺は先帝の第四皇女という格別の身分ゆえ、例え本心では気に食わなくとも危害を加えることなど出来ようはずもなく。
「――わぁ、大きくなったね
「…………へっ? あっ、うん……」
「……あの、
「ああいえっ、そう言えばな~んにも存じませんでしたわおほほほほ――」
「女御!?」
翌朝、清涼殿にて。
思わず感慨が込み上げそう伝えると、呆気に取られた
そして、そんな反応は彼だけでなく――すぐ隣に視線を移すと、愛息同様ポカンとした
ただ……思わず藤壺らしからぬ反応をしてしまったのも、ある程度は仕方ないかなと思う。だって……うん、あんなにも小さかった
「……ねえ、女御さま。これ……」
「……えっ? ……わぁ、綺麗」
そんな感慨に浸る
……いや、駄目だ。本来、
「――あら、坊や。あの先帝の皇女たるこの
「ひどくない!?」
……うん、ほんと酷いね。私だってやだよ、こんな藤壺。
その後、瞳に潤ませどうしてか謝る我が子を冗談だと言い聞かせ慰める私。……うん、ほんとごめんね? あんなこと、もう二度と言わないから……たぶん。
「……ふふっ、それにしても……驚きはしたけど、一方で嬉しくも思うよ。そのような冗談を言うくらい、若宮と打ち解けてくれたのだから」
「……え? あっ、ありがとうございます……」
すると、不意に届いた思い掛けない言葉にたどたどしく答える私。……えっと、ついお礼を言っちゃったけど合って……いや、たぶん合ってな――
「……以前にも申したけど、貴女は本当に
「……あっ、えっと……はい」
そう、穏やかな微笑で話す帝。……そうだ、帝にとっても
「……うん、改めて思ったけど……本当に、更衣に良く似ているね。とりわけ、あの快活な笑い方は本当に良く似て――」
「いやリセットされてねえんかい!!」
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