第40話「人間」

「後藤さま、そろそろ届くと思いますよ?」

シュブ・ニグラスがそういうと後藤はイタカの輪切りをやめた。

跳躍すると、イタカの脳天に飛び乗りつつ思い切り真下に突き刺す。

イタカからくぐもった声が出る。

「おーん」とか「むおーん」みたいな声だ。

後藤の刀の鍔が変形して触手状になりイタカの頭に数本突き刺さる。

イタカは何とか振り払おうと、両手で自分の頭をかきむしるが、その手は後藤が刀を持っていない左手で殴り払っている。

刀の鍔が傍から見てわかるぐらいイタカからエネルギーとか体液を吸い出している。

後藤の体が謎に発光をはじめる。

イタカが頭に刺さった異物を振り払おうと動かす手の動きは徐々に鈍くなり、最後には全く動かなくなった。

「ウェンディゴさま……」

教信者たちが狼狽している。

「さて、このままにしておくわけにいかないから、復活させるぞ。おまえら手伝え。」

シュブニグラスが狂信者たちに命令する。

「復活??」

「無駄口叩いてる暇があったら、並べるの手伝ってください!多少順番違ってもいいので!」

ナイアーラトテップも輪切りになっているイタカの死体を元のイタカの形に並べ始めた。

後藤はその様子をボーっと眺めている。

狂信者たちも訳の分からないまま自分たちが崇拝していたウェンディゴの輪切りを元のように並べなおし始めた。

「シュブ・ニグラスできそうですか?」

「多分やれる。」

並べ切ったところでシュブニグラスが謎の掛け声とともにイタカのバラバラ死体を手の平でたたいた。

すると、イタカが若干順番間違いはあるにせよ元通りにつながって目を覚ました。

「おはようイタカ君。偉大なる後藤さまの3番目の手下だ。喜びたまえ。」

ナイアーラトテップが話しかける。

イタカはしゃべれないようだが理解はしているようだ。

「ということで本日で貴殿たちは解散だ。見ての通りウェンディゴは我らが主である後藤紳さまの配下になった。貴殿らは引き続きその辺に落ちている石とか、木のまたとかを信仰すればよろしい。」

ナイアーラトテップが信者たちに解散命令を出している間、シュブ・ニグラスはイタカに何か吹き込んでいる。

「では後藤さま、イタカが行けそうなのでこちらへ来てください。」

後藤をイタカの片手に乗せる。

「後藤さま、何があっても落ちないでくださいね?」

ナイアーラトテップとシュブ・ニグラスも後藤と同じ手の中に納まっているが、珍しく緊張の面持ちだ。

「よし、イタカ!アルデバランのハリ湖まで連れて行ってくれ!!」

ナイアーラトテップの号令にイタカは少し身じろぎすると、その場から3人を掴んだまま消え失せた。

その後、後藤紳が首尾よくハスターを打ち倒すかどうかは、また別のお話。


いあいあ。

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後藤必殺剣 古川モトイ @sunoise

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