第37話「無名都市」

後藤は満身創痍でシュブ・ニグラスに背負われている。

その横を黒い神父がついて歩いている。

「おかしいなあ……基本、人間には負けないハズなんですけどねえ?」

「ワケわかんないこと言ってないで、後藤さまの右腕探しなさいよ!」

ナイアーラトテップを倒した後藤は晴れて元旧支配者2柱を支配下に置くことになったのだが、目下、右手を紛失中だった。

「後藤さまの右手って、なんかワイヤレスイヤホン失くした時に探せるみたいなサービス無いんですか?」

後藤が首を振る。

「あ!あれじゃないですか!?ありましたよ!!」

黒い神父が駆け寄った先には確かに後藤の右手が落ちていた。

「見てください!これ私の顔面!」

横には円筒形に切り取られた顔面も落ちていた。

「良かった、これが見つからなかったら、私の化身の一つは、キン〇マンに出てくる超人ブラックホールみたいになるところでした。」

「今ちょうどそうなってるから、それちゃんとハメなさいよ。」

「だめですね。なんかうまくハマらないんで、とっておいてなんかあったときに使います。」

そういって夜の砂漠を歩く。

「ちなみに無名都市に向かってるなら、もうそろそろ着きますよ?」

「あれ?そうなの?」

黒い神父が砂漠の岩場に置いてある大岩をどけると、岩をくりぬいて作られた通路があった。

「これ墓?」

「墓ですよ。ご遺体、良く燃えるんでここからは火気厳禁ですよ?」

少し下りると横穴に遺体が並んでいる。

いわゆる地下共同墓地という奴だ。

迷路状になっている地下道を抜けると石造りの神殿が現れた。

「話には聞いていましたが天井低いですね。」

シュブ・ニグラスは低いところを後藤を引きずりながらの移動なので口数が減っている。

余裕がないのだ。

低いところをじりじり進むと、別の空洞にでた。そしてそこには今までよりも大規模な石造りの神殿がある。

「ここ天井高い!助かる!」

「そろそろ目的地ですね。」

そこは黄金に輝く棺が並ぶ部屋だった。

「そういえば、なんでアンタが無名都市のココが目的地だってしってんの?」

「……どうしてでしょうね?無名都市って、ここぐらいしか利用価値無いんですよね。」

実はシュブ・ニグラスは無名都市の事を良く知らない。

「じゃあ、この金色の箱何なの?」

一個一個、箱をのぞき込むナイアーラトテップにシュブ・ニグラスは質問してみた。

「これ、生命体の肉体と精神を分離させて、肉体の方を永久保存することができる箱なんですよ。あ、これダメだ、腐ってきてる。」

シュブ・ニグラスは後藤の精神がなかなか難しいことになっている事と、それを治す方法を探した結果、無名都市に来ることになったのだと言った。

「なるほど、後藤さまは人間としては破格の強化をしているせいで、ずいぶんアタマに来ちゃってますからね。改造しすぎた肉体と精神を切り離して療養したら、色々思い出したりできるかもしれないですね。あ、この箱空いてます。ここ使いましょう。」

ガラスの天板をずらして開けると、二人で後藤を中におさめた。

「しばらく狭いですが我慢してくださいね。」

ガラス越しにシュブ・ニグラスが話しかける。

「どうも後藤です。」

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