第25話「イーストサクラメント・ヴィーガンパーティー爆発事件」
カリフォルニア州イーストサクラメントのヴィーガンコミュニティーが主催した大規模なパーティー会場で何かが爆発し300人近い死傷者がでたのだ。
町田は「これは何かしらの生贄の儀式だ」と直感した。
ほぼ同時に同じ結論にたどり着いた人間がいた。
ミスカトニック大学比較宗教学教授アンドリュー・リュー教授だ。
SNSで騒ぎに気付くと研究室のテレビをザッピングしながらニュースサイトをチェックする。
そこそこ情報を集めると、恐らくは旧支配者のいずれかにまつわる邪教の儀式であったと結論付けて、椅子に深く腰掛けた。
「さて、学生諸君。キミたちにこの謎が解けるかな……」
リュー教授の元教え子には大なり小なり安全保障にかかわる職業に就く人間がいて、今も世界各地で働いている。
そう考えながらくつろいでいると、学生が一人、リュー教授のオフィスに飛び込んできた。
「教授!ヴィーガンパーティー爆発事件みましたか!?」
リュー教授は「なかなか現役の生徒も優秀ではないか」とほくそ笑んだ。
「落ち着け。まずは名前を名乗るんだ賤民。そして神聖なドーナツの前で頭が高いぞ、まずは座れ……そうだ、よくできたじゃないか。コーラかレモネードを恵んでやろう。」
「ありがとうございます。教授は事件の事をご存じで?」
リューは頷いた。
「知っているよ。私は私が知っていることは何でも知っているんだ。でも、それがなぜ学生にドーナツとレモネードを恵む理由になるのか、説明してもらおうか?」
「まず、この事件の犠牲者は教授がいつも仰る『バンドリング』がされているからです。」
「その通りだ。私の目から見ても極めて優良なバンドリングが成されている気がする。キミはどんな点に注目した?」
学生はまるで自分に課せられた課題や義務であるかのようにドーナツを咀嚼して飲み込んだ。
「まず参加者が『ヴィーガン』だということです。それもパーティーに出席するほど意欲的なヴィーガンです。これはスピリチュアルであると言えると私は考えました。」
「そこまで読み取っているなら彼らは食生活においても連帯感がある点にも注目できているな?身体的にも生贄になる準備が整っていたと解釈できると?」
学生は嬉しそうに「はい!」と答えた。
リュー教授は学生の背中を叩くと立ち上がらせた。
「よろしい、キミはお茶会のパートナーとしてはA+だ。さて、優秀な学生との会話の時間はとても良いものだが、私も今から部屋を出て仕事をしなければならない。キミの顔は覚えた。キミならきっと私のクラスで単位を取るのは難しくない。」
そういうと肩を叩く。
「……だから、しばらくヴィーガンパーティーに行こうとか思うなよ?もし君が菜食主義者だとしても信用できる友人以外には隠すんだ。」
そういって共に部屋を出た。
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