第14話

 3人は酒を飲みながら話をした。

最初は仕事の話から、次第に恋愛話に。

ハルは両手で頬杖をつきながら尋ねる。


「LINEも電話もマメなのに、遠距離を理由に会いには来ない」


藤森はグラスを片手に尋ねた。


「遠距離って、どの程度の距離?」


「車で片道1時間」


ハルの答えに堀内は「好きじゃない」と答え酒を口に運ぶ。

不服そうにしているハルに藤森は説いた。


「男だって好きな人には会いたい。どんなに忙しくても時間は作る」


「5分会うために往復2時間の時間は作らないでしょ。私は作らない」


ハルが反論すると、藤森は呆れたように倉沢に振った。


「倉沢だったら?」


「僕は、5分会うために2時間往復します」


「えー」と不満げに声を上げるハルに、「ほらみろ」と得意げな藤森。

ハルは手元の酒を飲み干し、おかわりを頼んだ。

今度は倉沢が頬杖をつきながら尋ねた。


「尾崎さんは、今そういう人と付き合ってるってことですか?」


ハルは即答した。


「違います」


「でも尾崎はそういう男と付き合いそう、もしくは付き合ってた、だな」


藤森は笑った。

ハルは記憶を辿るように少し間を置いて言う。


「だったら何よー、悪いー?」


倉沢が答えた。


「もったいないと思っただけです」


ハルと藤森は驚いて倉沢を見た。

倉沢は「なんですか」と言わんばかりに2人を見返す。

藤森はチラッとハルを見てから尋ねた。


「倉沢、いくつだっけ?」


「35です」


倉沢の返事を聞いて、藤森はハルに目を向けた。


「いいじゃんか」


「何がよ」


ハルは面倒臭そうに目を逸らして酒を飲む。

倉沢に向き直る藤森。


「なあ、倉沢」


「何がですか」


似たような答えに、藤森は再びハルに向き直った。


「効率がいい。罹患して1番ひどい姿をもう見られてる、すっぴんも」


「だから?」


ハルはバカにしたように鼻で笑った。

藤森は倉沢には共感を求めるように、ハルには説得するように続けた。


「尾崎の胃カメラしたのは倉沢だ。身体の中身もよく分かってる」


「え、やめてよ」


ハルは今度は小っ恥ずかしくなって笑った。

すると倉沢が口を挟む。


「胃も食道も綺麗でしたよ」


藤森が盛大に笑い、ハルは渋い顔をした。


「なんかめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。なに?倉沢、天然なの?酔ってんの?」


「いや、所見を…」


倉沢の言葉を制するようにハルは酒を口に運ぶ。

藤森と倉沢はおかわりを頼んだ。

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