オリオンの夜明け

遊野煌

ーーーー11月の中旬。

今日は特別な日だ。リビングの窓から夜空を見上げれば、今年初めての小さな水玉模様がふわりと舞い降りてくる。

まるで明香（めいか）が、今日という日を祝福するように。

こうして雪を見るたびに、俺は今年もまた冬がやってきたことを実感する。冬は、俺の好きな季節でもあり、悲しい季節でもある。

何年たっても変わらない。俺は、未だに明香を愛してる。

「春樹（はるき）、そろそろ始めましょ」

振り返れば、会社では想像もできないような、栗色の髪を一つ括りをした、エプロン姿の未央（みお）が、こちらをみて微笑んだ。

「あぁ、そうだな」

俺達は、帰国してから、明香と冬馬（とうま）と暮らした家で生活をしている。

星香（せいか）に、明香の思い出がたくさん詰まっているこの家で、少しでも母親を感じて欲しかったのもあるし、何より、その事を強く、未央が望んだからだ。　

『星香に明香さんを少しでも側で感じて欲しいの。星香が、ママが居なくても寂しくないように』

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい