第一夜 愛憎
第2話
「
「
「当たり前だよ、婚約者の誕生日位、仕事は休むよ」
見上げた蓮が、ニコッと微笑む姿に、梨紗の心が、普段は忘れている何かを勝手に思い出そうとする。
「何処だっけ?ドライブ行きたいって言ってた場所?」
「うん、滋賀県にある有名なドライブコースなの」
梨紗は、一瞬、脳裏に浮かんだ何かを振り切るようにして、蓮に抱きついた。
「ありがとう。蓮」
梨紗の隣にはいつも蓮が居た。どんな辛い時も悲しい時も、いつもそばに居てくれて、守ってくれた。
蓮は、隣の家の幼なじみで、女の子みたいな二重瞼に鼻筋が通ってて、長めの前髪を揺らす。
いつも梨紗を安心させるかのように、ニコッとはにかむように笑う。梨紗は蓮の優しい笑顔が大好きだった。自分自身を、丸ごと包んでくれるような、すごく安心する笑顔。
梨紗には、蓮しか居なかった。いつも隣にいて、支えてくれたのは、蓮だけだった。
いや、違うーーーー蓮しか居なくなっていたのだ。いつの間にか、梨紗の隣には、蓮しか居なかった。
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