この文芸部には文芸が足りない!

宮野涼

第0話 この文芸部には文芸が足りない!

「ここでれい君に問題です」

「ここでもなにも本当に急っすね」

「この文芸部には一つ問題があります」

「一つどころじゃない気がしますけどね」

「この文芸部には一つ問題があります」

「……何が問題なんです?」

「部員が私たち二人以外いません」

「今に始まったことじゃないですけどね」

「まぁそれは置いといてさ、今日鍋しない?」

「話題って荷物かなんかでしたっけ?」

「鍋、食べるの? 食べないの?」

「食べます、この季節にはもってこいですしね。何鍋ですか?」

「強くなりたくば喰らえ鍋」

「急に食べたくなくなったっすけど……」

「じゃあ今から材料買って私の家集合ね」

「はいはい」

「それと、今日、親帰って来ないから♡」

「……どう反応すればいいんすか」

「純情な高校一年生を弄んでるだけだから、気にしないで」

「夜は寝かせませんよ」

「う」

「なんで返されるとどもるくせに毎回やるんすか」

「だって楽しいんだもん」

「だもんって」

「とにかく! スーパー行くよ! 荷物持ち担当大臣君!」

「じゃあ先輩は財務大臣ってことで」

「ふふん、バイト代が入ったばかりなのだよ荷物持ち君」

「頼もしいです財務先輩」

「はい、いくよ、玲君」

「……」

「あ、照れてる」

「そりゃ、年上の先輩と手繋いだら誰だって照れますよ」

「初心だね~初心大臣だね~」

「そろそろそのノリ飽きませんか?」

「飽きました、飽き大臣です」

「冷え込んできましたね」

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