第18話 恋と戦争は何でもあり
慌ただしく触られた感覚がし、目が覚める。恐らくデュベが、私に掛けられている。デュベの先でアルの声がする。
デュベを捲ろうとすると、恐らくアルに抑え付けられた。数分経つと、漸くアルがデュベを退かしてくれた。そして慌ただしく、
アミアブル「アート拙い! 使用人にアートが居る事がバレた!」
と云った。急いでアルと共に服を著て、出て行こうとするが、サフィールがノックもせず入って来た。
サフィール「久しいな、アートルム。アミアブルとは仲直りが出来たか?」
私「ええ。私が脱走した時よりも仲が深まりましたよ」
サフィール「今度こそは逃げずに、アミアブルと別れず、私の目が届く所に居るのだぞ。分かったか?」
私「残念ながら、私は天帝の膝元に属しています。なので常にサフィール様の目が届く場所には居ません。ですが、アミアブルとは、アルとは絶対離れません!」
サフィール「結構。結婚するのであれば、私が仲人になろう」
そう云うと、サフィールは出て行った。
——数週間後——
ユーピテルで宴が開かれた。私が天帝補佐である事を真に示す為であろう。そしてアトラヌスの縁者への紹介もあるのだろう。
アトラヌスは、長い銀髪を生やした整った容姿を見せ、黒いスーツを著ている。
来た者は、ウィレイン王族の者が何人か居れば、父や弟や妹、更にはイユ、他にも様々な要人が居る。
アトラヌスにアルを紹介していた時である。幾つも木霊する声から、鮮明に杖の音がした。振り向くと、背広を著て長いマフラーを一度だけ巻いた男が居た。
男「お久しぶりです」
アトラヌス「久しいなルヴァスール。ルヴァスールよ、彼はアートルム、彼女はアミアブルだ。アートルム、彼はルヴァスール、吾の義弟だ」
義弟との発言に私は驚かざるを得なかった。アトラヌスに妹が居たとは思いもしなかった。
私「どうも。これからよろしくお願いします」
アルも名乗って、ルヴァスールは「よろしく」と云って、ため息をしてから喋り出した。
ルヴァスール「さて、
ルヴァスールはそう云うと、アトラヌスは普段の鎧を一瞬で身に纏い、幾つもの槍を放った。ルヴァスールは私達を衝撃波で退かすと共に、魔力で自身も守った。蓋し、その魔力は星に所以する物だ。
ルヴァスール「私は孤独だ。貴方とは違う。吾が妻「ロヴン」だけが私の唯一の家族だった! 私はロヴンが生きる世界に変える。ロヴンが生きている事とこの天空城が無い以外、少しも違わない世界だ! この城の核があれば、私は世界を変えられるんだ!」
アトラヌスは少し止まったが、すぐに両刃剣を召喚して握った。
ルヴァスール「なるほど。(声色を変え)ならば行儀の良い振りはやめだ。殺してでも核は貰う」
三大公将軍も集い、ここにはアトラヌス、ルヴァスール、アミアブル、公将軍たち、そして私が居る。ルヴァスールは杖に付いた宝石を引きちぎり、右手で砕いた。すると、辺り一辺に巨きな衝撃波が生じ、ユーピテルに魔力で穴を開け、「渡せばよいものを…。貴様は戦争の賽を投げたのだぞ」そう云って逃走した。
——数日後——
アトラヌスに依って、三大公将軍、アミアブル、サリエット、父アルベイル、私、そして第一線で活躍する冒険者数人(クサドも居る)が、ルヴァスールを倒すために、対ルヴァスール対策本陣としてここユーピテルに居る。
アトラヌスは、何故ユーピテルの核を渡せないのかを語りだした。
アトラヌス「この城の核は、先祖代々受け継いできた青雲の勇者「ユーピテル」の肉体そのものだ。彼女は、世界の殆どを支配した冥王を殺すために、異世界から転生なされたと云われている。単独で冥王の肉体を殺し、魂を分割して冥王の鎧に宿らせた事で今日に至るまで復活していない。ユーピテルの肉体があれば、確かに世界を変えることが出来る、だがそれは幾つもの事々を冒涜する事になってしまう、この世の理さえ冒涜してしまえば、死後にロブンに会えなくなるだろう。妹が愛した男に、そんな事はまずさせたくない。」
そう云って、続けて「これは吾の単なる気持ちでしかない、去る者は一切追わないと約束しよう」と云った。
私個人としては一切関係無いが、守るものを奪う、それは許せぬ。何より、私には天帝補佐という役職がある。私は手を貸すと云うと、クサド以外の冒険者は去ったが、逆に云えばアルとサリエットと父上とクサドは共に手を貸すのだ。公将軍たちは無論手を貸す。
アトラヌスは感謝し、計画を話し出した。
転生正義 国芳九十九 @Kabotya1219
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