第3話 剣と魔法、奔馬と正義
初めて魔法を放ってから早くも6年。僕は久しぶりに夢を見た。
4歳か5歳の頃、あの強盗達が来た時である。ナイフとバールなんかを持った男達が3人。パパが抵抗しようとして殺され、悲鳴を上げたママが殺されそうになって、僕は恐怖とママを守りたい気持ちで、包丁を持ってナイフを持つ男の背中を突き刺し、視界や手が血に濡れた時である。突然僕を引き離す、未来の僕が現れた。未来の僕は一瞬で男達を倒した。
未來の僕「君も僕の様にヒーローになるんだ」
未来の僕は僕に手を出し、僕を立たせた。未来の僕へ感謝をしようとすると、肩を掴まれ、振り返った。そこには悪魔の様で光が赤い、神が居た。
神「罪と罰からは逃れられない! 人殺しの君は善行を積まねばならんのだ!」
躰を揺らされ、瞼を開けるとアーハルが居た。僕の躰は濡れネズミの様に汗で濡れてい、アーハルが心配そうに僕を見ている。
アーハル「坊ちゃま、大丈夫ですか?」
僕「だ、大丈夫。何故僕の部屋に?」
アーハル「坊ちゃまが魘されておりましたので」
アーハルに水と桶と布と服とを持ってこさせ、躰を拭き、著替えて復眠った。
それからというもの、毎晩、悪夢に魘された。為に、睡眠不足が続いた。
それから5年。僕は剣と魔法の鍛錬に打ち込んだ。2歳の時に出した魔法で才能がある様に思われたが、僕はエルフとドワーフの先祖返りらしかった。ある一定の段階から魔法が成長しなくなり、単にある程度の才はあるが、それだけに過ぎないと思われている。
太古に人間はおらず、エルフとドワーフの混血が最終的に現代の人間へ変遷したらしい。僕の銀髪も古代エルフの特徴らしく、併し、くすんだ様な銀髪なのはドワーフの影響もあるらしい。
近頃、僕は貴族の制度がめんどくさくなってきた。主に、嫡男としてのプレッシャーであり、それが嫌で嫌で仕方がない。僕は爵位継承権を破棄することにした。これで自由になれる。併し、条件として、15歳になったら学校に行かねばならない。僕は拒みたかったが、青春を体験したくなり、了承した。
夏の終わりかけ、父上からある一匹の巨きな馬を貰った。名を「カロム」と云う。僕への誕生日プレゼントらしい。併しこの馬、奔馬である。乗ろうとすると僕をすぐに振り落とそうとする。
或る夜、僕は普段よりも酷い悪夢に魘され、何を思ったか厩舎に行き、カロムの所で横になった。意外にもカロムは僕を拒まず、受け入れた。
朝靄の寒さに目が覚めると同時に、悲鳴が聞こえ、起き上がって声の方へ走った。併し中々場所へ付かず、一旦休んでいると、カロムが僕に追いついた。カロムは「乗れよ」と云わんばかりの顔をし、僕は跨った。車の様な素早さに驚きつつも、悲鳴の場所にたどり着くと、盛装を著る若い女性とウィレイン王家の紋章が彫られた騎士が1人、強盗の様な3人の男達に立ち向かうも、やられている。僕は吐き気と共に怒りと、神に云われた事を思い出しつつ、怒りに身を任せた。
跳び蹴りで1人の頭を蹴り、もう1人の右脇腹を殴ると、口から血を吐き出し、リーダー格と思われる男が僕へ剣を振りかざした。僕は避け、足の骨を折り、何度もそいうを殴った。拳は痛くない、だが心が妙に痛む。
若い女性「やめなさい!」
静止され、僕は立ち上がり、顔の血を拭った。躰中の血肉が沸る。何故だか、 心が笑っている気がする。リーダー格の顔は潰れてい、女性は怒った。
若い女性「まず助けていただき、ありがとうございました。私はウィレイン王家の三女、アリスと云います。さて、あなたやりすぎです!」
アリス様は怒っているが、感謝され、僕はとても嬉しかった。僕は跪き、
僕「私はアルバス子爵の長男、アルバス・オディウム・ユースティア・ウンブラ・アートルムと申します。悲鳴を聞き、駆け付けました」
この日、僕は正義のヒーローを志した。
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