第2話 異世界

 僕は今、2歳頃だろうか。意識の無い空間を少しの間彷徨った後、人間が2歳前後に理性を得る様に、僕は今、確固たる肉体と感覚とを手にした。僕には銀髪が生えている。

 思う様に動かない躰を使い、僕は外を見、驚いた。何町も遠くに巨大な木があるのだ。離れに木立がある、それも巨きい。よく考えれば、大人も日本と比べれば凡てが巨きく感じる。僕は偶然、回顧した。テレビのオカルト番組で、「世界樹と巨人が存在した証拠」との旨のものである。

 確か、世界のどこかにある山は、実は世界樹の切り株の様な物で、木が存在していれば大量の酸素が作られるから、大量に使う生物が必要で、諸々が合わさって巨人が存在した可能性が高い、という物である。

 蓋し、もしもそうなら巨人や巨きい人間が居ても、変ではないのかもしれない。

 そんな事を思い思いで、無色透明のガラスに額を押し付けてい、冷たく感じているとこの世界のスペイン語とドイツ語が混ざった様な言語で「ほら、アート。おねんねのお時間ですよ~」としめやかなドレスを著る女性が云い、僕を抱きかかえた。僕の名前は「アートルム」だがニックネームとして「アート」と僕を呼ぶ。彼女はこっちの世界での母親、ベルである。見た目は若々しく、20代前半といった所である。

 僕が生まれたのはアルバス子爵家と云うらしい。カムロス家のザーク領主という人に命じられ、ここの領地の守護及び統治をしている。この世界では真名という物があり、知られると支配されるらしい。

 僕は母上に抱きかかえられたままでい、「母上、またあの絵本読んで」と云うと、母上は「あら、昨日も一昨日もそれより前の日も読んだじゃない。たまには、そうね…」と云い、少し屈んで一つの絵本を取った。

ベル「これはどう? ドワーフの騎士様とエルフのお姫様のお話よ」

僕「じゃあそれにする」

 豪華なベッドに寝かせられ、母上は隣で本を開き、躰を傾斜にし、読み始めた。

ベル「じゃあ読むわよ?」

 僕は元気に「うん」と云った。

ベル「人間の居ない太古の時代、北にあるとてもとても寒い土地に、エルフの国があった。西の中央にはドワーフ達の国があった。エルフの国には、とても美しいお姫様がいました。ドワーフの国には、百人力の、最強の騎士様がいました。エルフの国とドワーフの国は、争っていました。お姫様はこの戦争を終わらせる為に、ドワーフの国に行きました。話し合いの場に騎士様がいて、騎士様はお姫様の美しさに見とれてしまい、つい、お姫様の云う事に賛同してしまいました。って、あらあら、寝ちゃったのね」

 僕は眠くなってしまい、瞼を閉じた。母上は僕の唇にキスをし、どこかに行った。

 誰かに抱きかかえられ、目が覚めると、数少ない執事の一人「アーハル」に抱きかかえられていた。アーハルは南の国の生まれである。

 僕は赤ん坊用の椅子に座らされた。装飾があまり無い木の椅子である。母上と父上の「アルベイル」は細長いテーブルに準じている豪華な椅子に座り、少しの野菜とパンとチーズとワインとを摂っている。僕はメイドに木のスプーンで小さな具材ばかりのスープを食べさせられている。味が薄く、病院食を思い出す。

 電気が無いのにいつも明るい理由が気になり、天井を見、僕は復驚いた。光の玉が浮かんでいるのである。

僕「父上、あれはなんですか?」

 と指をさして聞くと、

アルベイル「それは魔法だ。アートもいずれは出来るだろう」

 僕でも出来そうと思い思いで、感覚で云えば神経を集中させる様な、血液を一所に集める様な感覚で解き放った。すると、小さな火の龍が出、眠くなってしまった。周りは驚いている。

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