寮生活
車に乗り進む街並みは見慣れた日本のものだ。
そのことを佐野先生に聞いてみると、
「ここは日本自治区域ですのでー、地上での魔法行使は制限があるんです。アトランティス大陸の中心部はその制限がないので、魔法使いが飛び回ってます。荒谷くんもきっと驚きますよ!」
それは是非とも見てみたい光景だ。
買い物をショッピングモールで済ませ、これから住むことになる寮へと到着した。
「荒木くんに住んでもらうのは学術院が契約した一般的なアパートの一室です」
寮生活になると聞いていたが、今目の前にあるのはよくあるタイプの集合住宅。
「荒谷くんは特待生扱いなので家賃はもちろん、光熱費も常識的な範囲内での使用なら費用は学校の負担になります。それ以外の生活費に関しても学校が紹介しているアルバイトで稼いで貰うことも可能ですー」
握りこぶしを両手でグッと作って、頑張ってくださいね! と佐野先生。
部屋の中へ入ると、築年数が若いのか内装はピカピカだ。それに間取りも1LDKと高校生の一人暮らしとしては充分以上に広い。
『シキくんシキくん、凄く広いよっ! これならシアタールームってヤツを作れるんじゃないかい!?』
脳内のアニマのパトスが爆発したようだ。
こいつの趣味は映画鑑賞で、実写やアニメとジャンルを問わない雑食だ。おかげで俺の興味のない映画の鑑賞にも付き合わさせている。
『プロジェクターはもちろんスピーカーも拘りたいなあ……そ、そういえばここの防音設備はどうなってるんだい!? シキくん、聞いておくれよぉ』
実家の俺の部屋ではシアタールームなんて出来るはずもなく。広がった居住面積に脳内アニマは皮算用をしているようだ。全く……防音設備に関しては俺も気になったので佐野先生へ聞いてみた。
「防音ですか? うーん、この物件はスライムシートが入っているみたいです。安心ですね!」
スライムシート? 質問をしたことで疑問がまた増えてしまった。内容から察するにスライムシートとやらには防音効果があるのだろう。
しかし、スライムかぁ。どうやら、相当にファンタジーな世界へと踏み込んでしまったようだ。
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