第6話

大きなマンションだとは思っていたけど、中もすごく広かった


内輪だけのパーティーと聞いていたので、リビングでひっそりとを想像していたのに

リビングがリビングではない

リビングが、バーの一室みたいになっている


50名近く収容できそうな一室には、ざっと見て20名ほどの大人たちがいた

てっきりラフな格好の香織さんを見たから、数人だけだと思っていたのに…


香織さんとクマさん以外の大人はきっちりしていた

この二人がもしかしなくても浮いているのが鈍い自分でもわかった


香織さんに手を引かれ中に入ると、一斉に矢のように視線が飛んできた気がして、さらに香織さんの後ろに隠れた


「善さん!」


私を守るように、周りに声をかけられる前に、お目当ての人の名前を呼ぶ香織さん


“ぜんさん”もう一人の人のことだ


さくらいさんと同じくらい、それ以上に香織さんの話の中に出てくるヒト


香織さんの呼びかけに輪の中から顔を出したハンサムなおじさまは、聞いていた年齢よりもずっと若く見えた


遠山善


今話題の高視聴率をたたきだしている数々のTVドラマの原作者


香織さんの雇い主

香織さんの尊敬する人

ちらっと香織さんの後ろから顔を出して遠山善を見た


パチッと眼が合って、かたつむりのように私は顔を引っ込める


「香織ちゃん!なにこの子!まさか!」


「ふっふっふ!そのまさか」


彼は周りにいた男女の取り巻きの中から、私たちのところへ小走りできてくれた

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