第2話:尋問

「さて諸君、雄太ゆうたの告白が上手くいかなかった反省会をしようアルね」


「リンこれ何よ?」


「なんでお面するの~?」



 三人が僕を連れ込んだのは体育用品が置かれている倉庫だった。

 ややも暗がりの中、お面をかぶった幼馴染たち。

 そんな彼女たちの真ん中に僕はなぜか縛られて座らされている。



「あのねリンにフラン、シアもいったい何考えてるんだよ?」


「シャーらっぷアルね! 私は愛の導き手アルね! リン違うアルよ!!」


「いや、さっきフランに思いっきり名前呼ばれてたじゃん……」


 ジト目でリンを見ると、ほほに一筋の汗が流れている。


「くぅ~、せっかく雄太の恋愛の後押しをしてやろうと思ったのにアルね!」


「いや、全然後押しになってないし、僕今さっき失恋したばかりだよ!?」


 リンはあきらめたかのようにお面を取る。

 ツインのお団子頭で小柄な美少女。

 でも性格がきついので小さなころから苦手な存在。


「雄太君、残念だったよねぇ~」


 そう言って隣のフランソワーズもお面を取りニヘラと笑う。

 フランス人らしい金髪碧眼の美少女だけど、彼女のマイペースっぷりにはいつも回りもあきれている。


「ま、雄太じゃあの子は無理でしょうね~」


 そう言って跳び箱の上で足を組みなおしているのはハーフのエンデルシア。

 アメリカ人の母を持つ彼女は僕をからかうようにしているけど、この位置だとスカートの中が丸見えなんだよなぁ///////



「それで、三人とも僕になんの用?」



 三人とも幼稚園からの付き合いだった。


 現在の日本は日本人以外の子供も多く、幼稚園から小学、中学と外国籍やハーフの子たちと一緒になることが多い。

 当然小さなころから日本にいるので日本語はペラペラだ。

 さらに、この三人はうちの近くに住んでいるからずっと腐れ縁が続いている。



「なにもかにも、幼馴染のよしみで雄太の恋の後押しをするアルね!」


「雄太君、如月きさらぎさんみたいな人が好きだったんだぁ~」


「でも如月きさらぎさんってモテるから競争率激しいわよ? それに噂では大学生と付き合ってるって聞いたわよ?」



 ワイワイと僕を置いて三人で盛り上がる。

 いつもこうだ。

 小さなころからこの三人には振り回されている。



「とにかく僕の事は放っておいてよ! 今失恋して落ち込んでいるのだから!!」



「雄太君かわいそう~、なでなでしてあげるね~」


 そう言ってフランソワーズはその大きな胸に僕の顔を抱きかかえ頭をなでなでする。


「あーっ! フランずるいっ……じゃなくて、雄太を甘やかすんじゃないわよ!!」


 そう言って今度はエンデルシアが僕をその両足でがしっと掴んで首を絞めてい来る。

 って、いくら後ろからと言っても生足で首を絞められるとエンデルシアの股間に後頭部が///////!!


「まったく、これだけ私たちが女性慣れするようにスキンシップしてあげているというのに情けないアルね」


 そう言いながら今度はリンが僕を引き寄せ抱き着く。

 そしてフランソワーズ同様胸に顔をうずめさせてくれるけど、硬い……



「リンって、小学生の時から全然成長しないよね……」


「なっ! 人が気にしていること言うなアルぅーっ!!」



 べしっ!!



 そう言いながらリンはお得意のカンフーで僕を蹴り飛ばす。



 まったく、この三人は!!

 こうして僕は意味不明の尋問を受け続けるのだった。

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