第17話
その後、彼おすすめのこじんまりとしたお店で飲み直した。
彼は営業マンだから饒舌だという点を引いても、意外と共通の話題が多く見つかって会話に困ることが無かった。
「やばいな、麻生さんの前だと素の自分が出てしまう」
そうハニかむ蒼井さんは会社で見せる顔より幼く、わたしの胸に小さな疼きを与えた。
それから紗由理と3人でお酒を飲むことも増えた。そして彼女は急な呼び出しにより家に帰ることも多く、その後は蒼井さんと2人で飲み直しをする。
ただ一緒にお酒を飲むだけの関係だったけれど、わたしたちの間には確かな感情が芽生えていたと思う。
「夏南に恋人が出来たら、嫉妬してしまうかも」
「僕の癒しは夏南だけだよ、紗由理は我侭で一緒に居ると疲れる」
会う回数が増えるたびに、心は近づいていった。
紗由理を裏切っている。
身体の浮気より心の浮気の方が、ある意味タチが悪い。
そう思う反面、好きな人と会うことに何の罪があるのだろう?と疑問に思う。
尤もな話さ、
男は奪い取るものなんだよ
魔女が得意げに囁く。
ただ、本気にだけは絶対にならない。
それだけが魔女への唯一の反抗だ。
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