第2話
ご飯粒を付けたままで丼ぶり鉢を片手に持っている新キャプテンが、豪快にガハハと笑う。
「だよね、だよね」と同じようにガハハと笑い相槌を打つ部員たちに、わたしは仏頂面のまま炊飯器ごとご飯を渡した。
ちなみに、わたしは"來々"じゃない。
「え?あ……あ、えーと」
「何?文句ある?」
「いや、何もないです……」
何を残念な顔してんだよ、この野球馬鹿ども。
さっさとメシ食って学校へ行きやがれ。大体何よ、來々ちゃん來々ちゃんって。その継ぎ接ぎだらけのユニホーム。誰が縫ってやったと思ってんだよ。
鼻息をふんっと荒くして、机の上に残されたままの食べ終わった容器を炊事場へ運んでいく。大男がひしめく食堂内は通路が狭く、トレイを頭の上まであげてつま先立ちで歩く。
限られた時間の中で一生懸命働いているというのに、わたしを褒めてくれる人は誰も居ない。
「もう~。相変わらず不愛想だなぁ。季々ちゃんは」
「だよね。來々ちゃんと同じ双子とは思えない」
うん、それよく言われる。
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