第40話

順風満帆とまでは、言わないけど。


割と思い描いた通りの人生を歩んできた。


そしてこれからも、歩んで行くものだと思ってた。


彼は、そんな私の人生の中に突如として現れたサプライズ。


きっと神様が気まぐれに投げ込んだもので、いつしか忘れてしまうだろうと。


そんな風に思っていたの。


思っていたんだけど、ね。






「大喧嘩!?」




大きな声を出した私に慌てた杏子が、シーと唇に指をあてる。


会社の近くにあるカフェは、平日せいか人がまばらで、私の声は予想以上に響いたらしい。




「ごめんごめん、それで?」


「うん、あいつ消費者金融に借金してたの。それでもう頭にきちゃってさ。あんたなんかもう知らないって言って家を飛び出しちゃった」


「うわー。ちなみにいくら?」


「7桁」


「ごめん、ないわ」


「しかも理由はギャンブル」


「ありえない」




人の彼氏のことを悪く言うのは嫌だけど、ギャンブルのために借金をする男なんて最低。しかも、7桁ってすぐに返せる額じゃないよね。




「今回はまともだと思ったんだけどなぁー」


「顔は良かったよね、背も高かったし」


「そうそう、それだけよ。良いところなんて」

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