第38話

りゅうじさんにとって、私はあくまで欲求を満たすための生き物で、1割以上のことは、求められていない。


つまり、彼女としては傍に置いてくれるけど、それ以上は必要ないってこと。


現に、別の男と一緒に居るところを見ても、嫉妬すらしてくれないんだ。




「知ってたけど、改めて現実を見せつけられた気分」




こんなにも辛い恋になるなんて、想像もしなかったの。


いや……違う。ここまで嵌り込んでしまうとは、思わなかったの。


もし、初めからこんな気持ちになるなんて知ってたら、彼のことを好きになったりしなかったかな。




「あい……」


「ごめんごめん。こんな話、面白くないよね」


「あい、」


「さてと、晩御飯作ろうかな。ほまれ、何食べたい?」


「あいってば!無理しないでよ!」




今にも泣きだしてしまいそうな、そんな切羽詰まった声と共に、ほまれの両腕が私の体を捕まえる。


ほまれは誰にでも優しい。同情した?違う?どうでもいいや。


お気に入りのフローラルグリーンが優しく香り、強張っていた体中の力が一気に抜けた。


人に抱きしめて貰うのって、こんにも安心するものだったんだ。





―――――――――――――――――――――――――――



【NOW ON AIR】



柊木亜衣がお届けしています、heartbeat-island。さて、この時間は皆さんからのメールを紹介したいと思います。今週のテーマは、"恋愛において絶対なきゃだめなものは?"です。


絶対、お金持ちじゃなきゃだめ?優しい人じゃなきゃだめ?


それとも、絶対、あなたを1番に愛してくれる人じゃなきゃだめ?


どんなものでも、OKです。ぜひ聞かせてください。


メールを読む前に、曲に行きましょう。


ONE OK ROCK で、『heartache』




……、……

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